JPEA、持続可能性のある費用負担策を訴求―太陽光発電設備リサイクル制度小委員会

太陽光発電協会 (JPEA)の増川武昭事務局長は29日、経済産業省と環境省が合同で開催した太陽光発電設備リサイクル制度小委員会合同会議にオンライン出席し、制度創設に向けた意見を述べた。同委員会は、「3Rの推進は、官民連携の下、業界挙げて取り組むべき最優先課題の一つ」と強調したうえで、「国民の過度な負担とならないように十分配慮する必要があり、『コスト効率性と経済合理性』『持続可能性』『公平性』の視点を基本に置いて検討を進めるべき」と見解を語った。
これまでの会議で議論が集中した太陽光パネルの再資源化推進費用の負担方法については、販売時・購入時に一定程度徴収するとし、再資源化を行う中間処理事業者に適切に引き渡されたことを条件に、排出者(発電事業者)にその一部を払い出す仕組みを提案した。増川氏は、持続性や公平性のほか、資金固定額や管理コストを低減できる点を同案のメリットとしたうえで、システムの構築には既存インフラの活用に加え、「国の主導・支援が望まれる」と協力を求めた。
JPEAの試算によると、太陽光パネルのリサイクル費用の徴収額は出荷価格に対して10~15%程度となり、自動車などと比べて製品価格に対する再資源化費用の割合が高いことが想定されるという。再資源化費用を誰が負担するのかは未確定だが、「積立制度ではパネルの解体・撤去・運搬・廃棄の全てを賄うのは難しい」という意見も多くの委員やオブザーバーから上がっている状態だ。既存制度に倣った仕組みでは、負担に耐え切れず設備の廃棄や放置が増加する危険性が指摘されている。
一方で、大手発電事業者を中心に構成される再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)からは、再資源化費用について、「コスト削減の徹底、再資源化素材の利用推進により、将来的に現状の解体撤去費用積立額以内が理想」とする発言があがるなど、制度の安定運営に向けた異なるアプローチが提案されており、着地点は定かではない。
関係者からのヒアリングは28~29日の2日間に分けて実施され、JPEAやREASPを含む7団体がそれぞれの立場からの意見を述べた。太陽光発電設備リサイクル制度小委員会は今年の冬頃に取りまとめを行う予定としており、残り少ない期間でどのレベルまで意見が集約するかが注目されている。
JPEAは太陽光発電システムに関連する利用技術の確立や普及促進などを目的に1987年に設立された一般社団法人。会員にはパネルメーカーだけでなく、販売・施工、発電事業者、O&M、リユース・リサイクルなど、太陽光発電の幅広いバリューチェーン全体の事業者が含まれる。会員数は10月1日時点で155社・団体に及ぶ。
(IRuniverse K.Kuribara)
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