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マレーシアの合金鉄工場で火災 JFE商事出資のシンガポール社が運営、被害小も社会問題に

 マレーシアの合金鉄工場で11月17日に焼却炉が爆発する事故が起きた。死者は出ていないが、実はこの工場が位置する工業団地での火災発生は2024年に入り3件目。社会活動家が当局に安全対策を引き上げるよう要求するなど、社会問題化している。

 

■鋳型から溶融材料があふれて火災に

 

 

 

 Dayak dailyなどマレーシア現地紙の11月18日までの報道によると、事故が起きたのは、シンガポールの合金鉄メーカーであるOMホールディングス(OM Holdings)が子会社を通じてボルネオ島のサラワク州で運営する合金工場。サマラジュ工業団地という大規模な工業団地の中にあったが、鋳型から溶融材料があふれて焼却炉が爆発した。すぐに消防隊が消し止め、大事には至らなかった。OMは「被害は軽微で、最小限の混乱で操業を再開する」と述べたという。

 

 しかし、マレーシア市民は事態を重く見ている。実は、このサマラジュ工業団地での事故は夏以降で3件目だった。9月にアルミニウム加工工場で火災が発生。8月にも化学プラントで2人が死亡する火災が起きていた。

 11月18日のMalaymailの報道によると、同国社会活動家のアブドゥル・クドゥス・ラムリー博士は火災発生後、同国の労働安全衛生局(Dosh)に電話をかけ、工業団地などの工業地域での安全監査を要求した。定期的なチェックと従業員の緊急訓練などで企業と労働者の安全意識を高め、報告書の作成などにより地域住民への安心感の提供も可能になると説明したという。

 

■運営会社のOM、JFEが3.6%出資

 OMホールディングスはマンガン合金鉄やフェロシリコンなどの合金鉄製造・販売を手掛ける。オーストラリアとマレーシアの株式市場に上場する世界的な大手で、サラワク州の合金工場は同社の中核事業に当たる。

 OMは日本企業との関係も深く、JFE商事が発行済み株式の3.61%を保有する。JFEはかねてOMと事業提携してきたが、「アジア各国での鉄鋼生産拡大に伴い合金鉄需要は引き続き拡大が見込まれる。また、近年の脱炭素に向けた流れにより、需要家による合金鉄生産者の選別も進んでいく」(JFEの出資発表資料から)として、2023年末にOMへの出資を決めた。

 

 中国景気の低迷長期化や世界的な地政学リスクの拡大傾向などもあり、東南アジアに活路を見出す日本企業は多い。ただ、なお安全性などは発展途上の面も残る。事故などの可能性には改めて注意が必要だろう。

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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