バルカー(7995) 25/3H1WEB決算メモ ニュートラル継続
25/3期フッ素樹脂タンク需要剥落で1.2%増収8.5%営利減予想、26/3期は回復期待
株価3250円(11/18) 時価総額607億円 発行済株18,689千株
PER(25/3DO予:10.8X)PBR(1.15X) 配当(25/3DO予)150円 配当利回り:4.6%
要約
・25/3H1はフッ素樹脂特殊タンク需要一服し3.5%減収24.5%営利減
・25/3期1.2%増収8.5%営利減予想変更せず先端市場向け売上増額で利益若干増額期待
・27/3期に売上高800億円、営利120億円目指すが達成には課題
25/3H1はフッ素樹脂特殊タンク需要一服し3.5%減収24.5%営利減
25/3H1決算が11/14に発表され11/15にWEB説明会が開催された。25/3H1は売上高300.97億円(3.5%減)、営業利益29.24億円(24.5%減)、経常利益31.44億円(22.6%減)、受注141.32億円(2.1%減)、受注残98.44億円(26.2%減)となった。フッ素樹脂特殊タンク需要一服で利益低迷に。
事業別にシール事業は売上高198.75億円(6.0%増)、営利25.98億円(48.4%増)、受注98.30億円(9.7%増)、受注残99.82億円(11.7%増)に。市場別売上では先端産業向けが72.5億円(22.9%増)と先端産業向け高機能シールの販売が回復、プラント向けも堅調に推移し55.5億円(5.7%増)に。一方で機器市場向けは70.0億円(6.7%減)と設備投資伸び悩みで減少。仕向け先では国内が139.51億円(0.1%増)と横ばいも、海外が中国など好調で59.24億円(20.4%増)となった。利益面では円安、先端産業向け増加でMIX良化から営利率が3.8ポイント向上し13.1%となり大幅増益に。
機能性樹脂製品は売上高86.80億円(20.1%減)、営利4.12億円(80.5%減)、受注は36.09億円(22.8%減)、受注残36.20億円(49.7%減)と大幅な落ち込みに。先端産業向けが売上高44.5億円(16.0%減)と、スクリーンなどの好調で洗浄装置向けは堅調も高機能フッ素樹脂タンクが低迷、プラント向けも同様に22.5億円(40.0%減)と高機能フッ素樹脂タンクの特需剥落が影響した。仕向け先では国内59.0億円(15.2%減)、海外27.80億円(28.7%減)とどちらも低迷。利益面でも特需剥落影響が大きく減収、MIX悪化で大幅減益に。
再生ウエハ事業他は売上高15.40億円(2.1%減)、営業損失0.85億円(0.95億円悪化し赤字)、受注7.72億円(2.8%減)に。主力のウエハ再生事業が堅調もH&S事業が停滞、利益は新規事業の停滞が続き赤字。
全体を通じ市場別で先端産業向けが131億円(4.0%増)と高機能シールなどの好調、一方、特殊タンク減で伸び悩み、プラントでは78億円(13.3%減)で特殊タンクの剥落が影響、機器市場は設備投資不振で89億円(3.3%減)となった。また仕向け先では国内が205.78億円(4.6%減)と設備投資の伸び悩み、在庫調整、自動車も生産遅延などが影響した。海外は95.18億円(1.0%減)でアジア向けは中国などが堅調で72.07億円(4.3%増)、一方、北米は22.37億円(16.0%減)と半導体向けなどの悪化が影響した。
営業利益の利益面では円安効果で売上が7.2億円嵩上げされており、実質5.8%減収となっており、操業度効果、またMIX悪化などで円安でも総利益率が0.5ポイント悪化し40.0%となり総利益が5.83億円減少、販管費も人件費増、一般経費増、減価償却費増などで3.67億円増加し、全体で営利大幅減益に。
25/3期1.2%増収8.5%営利減予想変更せず先端市場向け売上増額で利益若干増額期待
同社は2583H1予想の開示をしておらず、通期に対する上期の進捗率は売上高で48.2%、営利で45.0%と50%を下回っているが、若干下期が多くる傾向があり、25/3期会社予想に変更はなく、売上高625億円(1.2%増)、営業利益65億円(8.5%減)、経常利益65億円(12.2%減)予想を据え置いた。利益では特殊タンク特需一服でMIX悪化から減益予想としている。
業績予想は変更していないが、セグメント、市場別予想を修正している。製品別ではシール製品が売上高417億円(期初計画比15億円増額、12.2%増)、営利55億円(同4億円増額、75.2%増)予想。下期にかけ半導体設備投資が本格拡大し、先端市場向けが伸びる見通し。利益も増収効果が大きく大幅増益予想。機器、プラント向けが横ばいでMIX良化から利益率が向上し大幅増益見通しに。一方、機能性樹脂製品は売上高177億円(同15億円減額、18.0%減)、営利11億円(同3億円減額、72.5%減)予想。特殊タンク特需が剥落、先端市場向けが大幅減少を見込み、利益もMIX悪化から利益大幅減予想。その他事業は売上高31億円(同変化なし、3%増)営業損失1億円(同1億円減額、0.66億円赤字拡大)と赤字解消できない見通し。
市場別では先端市場向けが287億円(同14億円増額、7.9%増)と特殊タンク大幅減の一方で高機能シール製品の大幅回復から全体では緩やかな回復を見込む。機器市場は178億円(同7億円減額、3.8%減)と、自動車向け堅調も産機向けが低調継続で減少見通し。プラント市場は157億円(同7億円減額、3.7%減)予想と特殊タンクの減収影響を見込む。
全体としてスクリーンの増額修正や国内半導体工場の設備増強など先端産業向けは下期さらに増額含みで、メモリ向けの回復が遅れているものの、シール製品、先端市場向けの増額から下期にMIX良化が見込まれ、会社計画を若干上回る収益が期待される。
27/3期に売上高800億円、営利120億円目指すが達成には課題
同社は新中計としてNF2026を策定、27/3.期に売上高800億円、営利120億円の実現を目指す。事業別では戦略製品の拡大等で先端産業向け売上高を24/3期266億円から420億円、売上高比率で50%超を目指す。機器分野は横ばい基調、プラント事業はソリューション事業拡大などで190億円を目指す。また新規分野についてAI/ITソリューション事業を27/3期に30億円まで拡大する方針。
現在、先端産業向けは25/3期に増額が見込まれるが、シール事業、機能性樹脂についてもライバル企業があり達成のハードルは高い。また新規事業は具体化が見えず、中計計画の未達懸念がある。
株価は5/13の本決算発表で25/3期減益予想としたことで4630円から急落、8/5に3000円まで下落、その後もさえない動きで終始している。現在、会社予想EPS284.43円に対しPER11.4倍と、日本ピラー工業の12.0倍、イーグル工業の12.9倍、ニチアス13.3倍と似通った水準にあり、プライム市場機械平均PER16.6倍に対し割安である。但し、本坊新社長の経営手腕が未知数の中で9/25に執行役員および幹部社員らによる不正行為が判明するなど、社内体制の問題が露呈、さらに中計達成が具体性に欠けるところがある。26/3期は半導体関連の本格回復で収益の回復が見込まれるものの、当面、ニュートラル継続としたい。
(H.Mirai)
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