工作機械工業会10月受注確報 10月9.4%増1225.5億円と3カ月ぶりに同月比増
10月工作機械受注は1225.5億円(9.4%増)と3カ月ぶりに同月比増加
11/20の15時に日本工作機械工業会の2024年10月工作機械受注確報が開示された。10月受注は1225.5億円(同月比9.4%増)と3カ月ぶりに同月比増加に転じた。但し10月としては2020年10月の820億円以来の低い数字に止まった。
外需13.6%増891.09億円と3カ月ぶり同月比増加、アジア7カ月連続増、インドは更新
外需は838.3億円(同月比5.7%減、前月比6.3%増)と3カ月ぶり同月比増、2カ月連続前月比増で800億円台をキープした。主要4業種では一般機械、電気・精密が同月比増加、前月比では電気・精密のみ増加した。一般機械は251.4億円(同月比0.1%増、前月比12.4%減)と2カ月連続で250億円超えに。自動車は190.8億円(同月比8.4%減、前月比7.8%減)とアメリカなどで減少、2か月ぶりの200億円割れに。航空・造船・輸送機械は55.0億円(同月比21.0%減、前月比33.6%減)と、アメリカ、アジアで前月比半減、2カ月ぶりに60億円割れ。電気・精密は221.6億円(同月比2.7倍、前月比95.7%増)と、中国、ベトナム、インドで大型受注があり、31カ月ぶりに200億円を超過した。
主要3極別ではアジアが498.8億円(同月比63.3%増、前月比16.5%増)と、大型受注により4か月ぶりに450億円超え。中国290.0億円(同月比48.7%増)と7カ月連続増で250億円超と高水準を維持。中国の主要4業種では航空・造船・輸送用機械を除き同月比増。一般機械93.7億円(63.1%増)、自動車102.6億円(22.3%増)、電気・精密76.7億円(2.5倍)に。中国の工作機械NC化向上促進への補助金が継続、但し前受け金を支払える企業からの注文が多く、対中対応で米国の追加処置に備え駆け込み増もあるとみられ、全体での盛り上がりではないとのこと。その他アジアも163.4億円(2.2倍)と2015年2月の231億円以来、9年8か月ぶりに150億円超となった。電気機械向けの大型受注が寄与、ベトナムが38.6億円(3.9倍)、インドは97.12億円(3.3倍)と22カ月ぶりに過去最高を更新。東アジアでは中国以外で韓国が28.4億円(2.0倍)に。北米は212.0億円(同月比23.0%減、前月比14.4%減)と2021年4月の198.7億円以来42カ月ぶりに220億円割れとなった。アメリカは174.2億円(同月比29.4%減、前月比21.4%減)と3カ月連続同月比減、6カ月ぶりに200億円割れと、展示会効果に押し上げはなかった。米国の主要4業種では電機・精密を除き大幅減。航空・造船・輸送用機械が21.6億円(25.1%減)、自動車20.7億円(57.8%減)、一般機械55.6億円(32.0%減)と、景気後退懸念で受注が改めて下降局面に入った可能性も。但しジョブショップ向けの底入れがみられるなど、まだら模様。欧州は165.1億円(同月比9.3%減、前月比22.3%増)と10ヶ月連続同月比減。ドイツ26.1億円(同月比47.3%減)と11ヶ月連続減、イタリア17.0億円(同月比27.3%減)と13カ月連続減少。一方、トルコ25.11億円(2.2倍)などでその他欧州では10カ月ぶりに50億円超に。主要業種4業種では電機・精密除き同月比減。自動車42.5億円(28.1%減)とEV投資見直しなど影響、一般機械21.8億円(29.5%減)は景気減退影響、航空・造船・輸送用機械も12.3億円(41.7%減)と反動減など。
外需全体でアジアが押し上げ、米州は不透明感、欧州はEU不振継続で、全体として3か月ぶりに850億円超えとなった。アジアについては中国での対米摩擦対応での需要増、中国以外は米中摩擦による中国以外での代替生産投資の活発化などで、継続性には疑問も。米州はトランプ外交次第でメキシコ、カナダなどが悪影響を受ける可能性もあり、不透明感増す。欧州はEV投資の減退影響が不安の種。いずれにしても欧米の景気減速感もあり内需と比較し健闘しているものの先行き不透明要素が多い。
内需は334.4億円(同月比0.6%減、前月比19.5%減)と26ヶ月連続同月比減
内需は334.4億円(同月比0.6%減、前月比19.5%減)と26ヶ月連続で前年同月比減、2カ月ぶりに350億円割れと低迷続く。主要4業種は同月比で電気・精密、航空・造船・輸送用機械が増加。一般機械は135.2億円(同月比4.2%減、前月比17.6%減)と2カ月連続同月比減、6カ月ぶりに140億円割れる。航空・造船・輸送用機械は24.7億円(同月比2.0倍、前月比18.9%増)と7カ月連続同月比増で、防衛などのプラス効果があるとみられる。自動車は68.3億円(同月比14.4%減)と4ヶ月連続減少、7カ月ぶり70億円割れで24年度に入り最低額。電気・精密は42.0億円(同月比22.7%増、前月比29.5%減)で半導体製造向けなど勢いは今一つ。全体で物足りない数字で内需の弱さが継続。11月はJIMTOFが開催されたが、入場者数は多かったものの、受注成約増には結びついていない模様。内外ともにリスク要因、不透明感が強く、工作機械受注の本格回復の後ずれの見方が出ている。
10月販売3.6%減1151億円、受注残4.2%減の7762億円と2カ月連続8000億円割れ
10月販売は1151億円(同月比3.6%減)と改めて同月比減、5月の1131億円以来の低水準。受注残高は7762億円(同期比4.2%減)と17ヶ月連続同月比減、2カ月連続で8000億円大台割れとなる。
工作機械4社受注動向 受注速報10月12.9%増と5カ月連続同月比増で工業会上回る
11/12の日刊工業新聞に2024年10月の工作機械4社の受注速報が開示された。10月受注は327.46億円(同月比12.9%増)と5カ月連続同月比増となり、日本工作機械工業会受注の伸びを上回って推移している。
4社全てが内外ともに同月比増加を記録した。牧野フライスが96.12億円(17.5%増)と4カ月連続同月比増。輸出が69.74億円(13.2%増)と、中国のNEV関連向けや一般機械向けなどが寄与。国内も26.38億円(30.6%増)と4カ月連続増で、半導体製造装置向け受注などが寄与。ツガミも84.37億円(25.2%増)と2ケタ増。中国中心の輸出が77.97億円(26.0%増)と2カ月連続拡大。市場全体は不透明感も車載用カメラレンズ金型など超精密加工向けなど中国での強みを発揮。オークマは130.75億円(3.0%増)と唯一1ケタ増に止まるも19カ月ぶり同月比プラス。輸出が81.99億円(0.8%増)と中小企業で様子見も、中国向けEV、米国は航空機向けなどが増加、国内は半導体製造装置向けなど拡大し48.76億円(6.8%増)に。芝浦機械は大型が堅調で16.22億円(16.2%増)で内外とも2ケタ増に。
(H.Mirai)
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