チリ鉱業が好調 銅価格上昇で生産に弾み、コデルコも回復へ
チリの鉱業が好調だ。2024年は主製品である銅の価格が高騰し、世界の資源大手が生産に乗り出した。銅の世界最大の生産国であるチリは大いに恩恵を受け、生産量が増加。国営銅生産のコデルコも息を吹き返している。
■鉱業生産、10月は4.4%増 銅が支える
チリの鉱業生産の推移
(出所:チリ統計局)
チリ統計局が11月29日に発表した銅工業生産指数で、鉱業は前年同月比4.4%増えた。9月に比べればやや減ったが、2024年に入り増加の勢いが増している。米ブルームバーグ通信が同日伝えたところでは、10月のチリの銅生産量は約49万トンと前年同月比6.7%増え、10月としては2019年以来で最大だった。
チリでは、国営のコデルコも堅調が伝わる。11月30日のロイター通信は、「コデルコは2024年の銅生産量を約133万1000トンにするようだ」との情報筋の話を伝えた。コデルコが公式に発表している2024年の生産目標は132万5000〜135万2000トンだった。2023年の生産実績は132万5000トンだったが、これはほぼ25年ぶりの低水準で、同社はこのため、23年に純利益が3割減るなど業績が大幅に悪化した。しかし、今年は銅の生産が戻っていることから、2024年は順調に回復に転じると期待される。
■銅上昇でチリ国民もほくほくか
銅は2024年に入り急騰し、5月にはロンドン金属取引所(LME)の3か月先物が$1万930/tonと過去最高値を更新した。足元では$9000前後に落ち着いているが、脱炭素の流れで中長期の需要が拡大するとの見方が多く、銅生産に注力する企業が増えている。オーストラリアのBHPがイギリス同業のアングロ・アメリカンに買収を仕掛けたのも、アングロが持つ銅資産が目当てだった。
過去20年間のLME銅価格の推移($/ton)
前出の統計局データで、チリの10月の銅工業生産指数全体は前年同月比3.2%増だった。いうまでもなく鉱業の好調が支えた部分が大きい。銅の活況はチリ国民の懐も潤しそうだ。
(IR Universe Kure)
関連記事
- 2025/06/16 東邦亜鉛、豪Abra社の株式を譲渡――資源事業からの撤退完了
- 2025/06/16 動き出す「金属盗対策法」――指定金属切断工具の隠匿携帯には罰則
- 2025/06/16 中国経済、5月は不動産が一段と悪化 物価も下落でデフレ様相濃く、貿易も振るわず
- 2025/06/16 電子部品輸出入Report#120金属製磁石輸入 2025年輸入量増加
- 2025/06/16 LME Weekly 2025年6月9日-13日 米中貿易交渉の進展期待も中東情勢緊迫化でCu Ni下落、Al続伸
- 2025/06/15 非鉄各社26/3期新前提とのギャップについて(6/13時点)
- 2025/06/15 LMEの現物と先物の鞘(6/13)
- 2025/06/13 アルコニックス、埼玉にリサイクル施設用地2万平方メートルを取得
- 2025/06/13 SHFE軟調などでLME亜鉛続落、国内建値6円引き下げ、433円に
- 2025/06/12 三井金属グループの日比共同製錬玉野製錬所、The Copper Mark認証を取得