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第2回「ヤード環境対策検討会」――「廃電池・金属スクラップ事業環境の整備が必要」

 環境省は3日、第2回の「ヤード環境対策検討会」を開催した。第1回目に続きWEB会議形式で行われた同検討会では、廃電池めぐる事業環境の適正化に向けた議論がなされた。現在、鉛バッテリー業界では、国内に拠点を置く一部の違法業者による不適切な解体・輸出が深刻化している。それに伴い保管だけではなく、破砕処理についての規制の必要性が指摘された。またリチウムイオン電池業界でも同様の問題が確認されており、業界団体の「法規WG」では、関連する法律の整理・基準の立案を通じ、リサイクルガイドラインの策定を進めているという。

 

 日本鉱業協会理事の山本伸之氏は、不適正ヤードの問題として①違法業者による鉛蓄電池の集荷・解体処理②鉛くずでバーゼル申請がされていない不正輸出③電池解体処理による鉛、希硫酸の流出④違法業者の大量集荷により不利な立場に立たされている適正業者――の4点を挙げた。

 

 国内の廃鉛蓄電池の年間流通量を33万~36万トン、それに対する鉛純分は18~20万トンと整理。また現在の国内処理能力は39万1000トン、2023年の実績は27万9000トンで、「そこから計算すると処理余力は11万2000トン(処理能力―23年実績)で、十分余力はある」として「足元の違法輸出は、国内処理体制に大きな影響を与える」と指摘した。

 

 適正処理の取り組みとして、環境省から都道府県宛に「使用済鉛蓄電池の適正処理について」(2005年公布)の通達が出ており、廃鉛蓄電池の取扱事業者は、同指導を順守する必要がある。山本氏は、一次製錬企業の事業環境を例に、破砕・排水・保管などの適正処理のフローを改めて説明した。

 

       

 最後に同氏は、保管だけではなく、破砕処理についての規制の必要性、国内税関での摘発は「バーゼル法違反未遂」にとどまっている現状の問題点、国内資源循環を促すための政府による法体系の支援の必要性などを挙げた。

 

 

 非鉄金属リサイクル全国連合会(非鉄全連)の福田隆氏は、「金属スクラップヤード実態とヤード法制化に向けた要望事項」として、金属スクラップ(ヤード事業者)の取引実態など、足元の状況を説明しながら、いま抱える課題に触れた。

 

 金属スクラップは以下の3ケースに大きく分けられるという。

 

 

 スクラップ業界にとって、大きな転換点になったのは中国の輸入規制が本格化した2019年以降で、当時中国向けに輸出されていた175万トンのうち、一部が東南アジアに流れ、それ以外の分が国内で処理される形になったという。不適正な扱いがなされ、いま問題になっているものは、この一部だという。その上で、ヤード業者を3パターンに整理、取締りの必要性の高い順にパターン①②とした。それが以下の右図である。

 

 

 パターン1で取締りの実効性を挙げることが、規律のきいた市場づくりには欠かせないとした。ただ、パターン2がはらむ見極めの難しさも指摘、許可業者への定期的な監査の必要性も強調した。

 

 鉛蓄電池再資源協会(SBRA)の大澤活司氏も不適正ヤード問題に触れ、不適正解体や違法輸出されている現状について「鉛蓄電池メーカー各社も供給者責任を負う立場から深刻に懸念を抱いている。当協会へも懸念ヤードに関する通報が全国の委託先事業者より相次いでいる状況」と述べた。廃リチウムイオン電池(廃LIB)については「廃LIBに起因するヤード火災の事案を聞いているが、家庭スクラップなどに紛れたLIBが圧壊したことが原因と思われる。そのため、分別回収・保管の更なる徹底を図っていくことが緊要なのではないか」との認識を示した。今後については、家電スクラップなどを前提にした「有害使用済機器届出制度」に鉛蓄電池を含め保管・処分をしていくことや、罰則の引き上げ、そして、巣鉛輸出を巡る未遂罪や予備罪を問う実効ある法的措置の必要性を挙げた(現行のバーゼル法や外為法では、それらの犯罪を問えない)。

 

 

 電池サプライチェーン協議会の(BASC)の境健一郎氏は、鉛蓄電池と同様にLIB分野でも中間処分業許可などのライセンスを有さない不適切な事業者の存在が、市場を脅かしている現状を指摘した。BASCの法規WGはそのような問題の解決に向け、関連する法規制の整理、基準の立案を通じ、24年度中のリリースに向け、リサイクルガイドラインの策定を進めているという。最後に同氏は「(ヤード環境対策検討会を通じ)不適切な処理や、違法業者への対策が検討されることを願う」と期待感を示した。

 

 

(IRuniverse G・Mochizuki)

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