中国の2025年の鉄鋼需要は2024年比1.5%減の8億5000万トンになる見通しだ。不動産市況の低迷長期化を背景に建設向け需要が戻らず、弱含む状態が続くと見られている。
中国国営テレビの中国中央電視台(CCTV)が12月20日、同国政府系シンクタンクの中国冶金工業計画研究院(MPI)の同日発表の予測として伝えた。MPIアナリストの分析として伝わったところによると、2025年の中国の鉄鋼需要は、建設業が前年比3.2%減、機械産業が1%増、自動車産業が4%増となる見通し。自動車産業向けは政策支援が続く電気自動車(EV)向けなどで伸びるが、全体の過半を占める建設向け需要の落ち込みが続くため、需要はさえない状態になりそうだ。
同アナリストは建設業向け需要について、「住宅向け需要の改善は期待しにくいが、公共インフラなどの固定資産向け需要は2025年も伸びるだろう」と予想した。中国は不動産開発投資の落ち込みが続くが、固定資産投資は国有企業による投資を中心に小幅な増加となっている。
中国の不動産開発投資と固定資産投資の推移
(出所:中国国家統計局)
MPIの予測では、2024年の鉄鋼消費量は2023年比4.4%減の8億6300万トン。中国は1-11月に既に9億2919万トンの鉄鋼を生産したとされ、2024年は供給過剰だった。
(IR Universe Kure)