ローツェ(6323)25/2Q1決算説明メモ ややポジティブ継続
25/2期29.5増収31.0%営利増で最高益予想、26/2期も収益上伸へ
株価1620円(1/10) 時価総額2858億円 発行済株(176,400千株)
PER(DO25/2期予:10.9X)PBR(2.25X) 配当(25/2DO予)18円 配当利回り:1.1%
要約
・25/2Q3は20.0%増収45.4%営利増、16.9%経常減益、31.7%税引利益減、50.1%受注増
・25/2期29.5%増収31.0%営利増で最高益更新予想もAI関連活況、円安寄与で増額期待
・高採算の半導体関連装置が牽引、AMAT、TSMC向け伸長し収益上伸し連続最高益更新へ
25/2Q3は20.0%増収45.4%営利増、16.9%経常減益、31.7%税引利益減、50.1%受注増
半導体・FPD・ライフサイエンス関連の自動化装置の開発・製造・販売を手掛け、主力事業のウエハ搬送システムで、世界シェアトップクラス。25/2Q3は売上高290.07億円(同期比20.0%増)、営業利益84.47億円(45.4%増)、経常利益61.88億円(16.9%減)、税引利益38.58億円(31.7%減)、受注高294.92億円(50.1%増)、受注残高626.52億円(2.7%増)と、豊富な受注残の順調な消化とAI関連の上伸受け大幅な売上、営利増に。但し為替差益がQ2の6.90億円から27.12億円減少、同期比で営業外収益が6.22億円悪化し、経常利益、税引利益では減益に。
セグメント別では半導体・FPD製造装置関連が売上高288.32億円(20.0%増)、営利87.79億円(46.0%増)受注293.77億円(53.1%増)、受注残622.88億円(3.5%増)に。品目別では半導体関連装置が売上高253.17億円(21.5%増)、受注243.14億円(30.3%増)、受注残524.64億円(1.2%増)に。売上面では主力ユーザーAMAT向けが59.86(4.2%減)ながら前24/2Q2以降四半期で60億円前後の売上で推移している。納入先第2位と見られるTSMCは売上記載が無いが、台湾向けが48.89億円(31.2%増)となっており、こちらは24/2Q1の28.43億円をボトムにQ2以降38億円弱で推移、25/5Q1で23.2Qの40.99億円以来の40億円乗せで23/2Q3の最高額49.60億円に迫る勢いとなっており、TSMC向けも増加が加速している模様。さらに中国向けが94.33億円(28.3%増)と半導体製造拠点の増強の活発化が大きく寄与している。但し25/2Q133.6億円に対し、Q2に117.51億円、Q3は94.33億円と25/2Q1をピークに多少一服気味となっている。なお受注は依然好調で、特に中国向けに加えAI半導体、とりわけHBM関連向けが大幅受注拡大となっている模様。
FPD関連装置売上は4.96億円(41.4%減)、受注58.39億円(28.2%増)、受注残39.34億円(2.9%増)に。売上面では韓国サムスン向けに大型案件がなく、受注はQ3に韓国サムスンディスプレイ社から329億ウオン(約36億円)の大型受注が寄与した。
25/2期29.5%増収31.0%営利増で最高益更新予想もAI関連活況、円安寄与で増額期待
25/2期会社予想に変更はなく、売上高1207.84億円(29.5%増)、営業利益316.17億円(31.0%増)、経常利益315.18億円(16.4%増)、税引利益229.16億円(17.1%増)予想を据え置いた。主力品目別では半導体関連1024億円(29.7%増)、FPD関連装置65億円(75.4%増)、ライフサイエンス13億円(6.5%増)を見込む。
現状、25/2期予想に対し、Q3累計での進捗率は売上高で73.9%とほぼ計画線も、営業利益は80.9%、経常利益で84.9%に達している。売上の市場別では半導体関連装置が74.8%と計画線、FPD,ライフサイエンスは進捗率で遅れている。なお、部品・修理他が進捗率94.1%と、納入製品の累積台数拡大、稼働率上昇に伴う部品売上増などが寄与している模様。現在、半導体製造装置関連はフル生産が続き、徐々に能力増効果が出ている。受注も好調であることから、緩やかな生産拡大が続くとみられ会社計画を上回る売上が期待される。その他事業は部品が上振れ、その他は未達に止まるとみられるが、全体として会社計画を上回って着地しよう。
利益面では半導体関連について増収効果が大きく、営業利益率について年度を通じて計画する利益率を確保するとみられる。但し6/24開示されたNanoverseTecnologies,Ltd..(以下N社)、を連結子会社化することでコスト増が見込まれる。なお経常利益についてはQ3末に一時的に円高に振れたものが再度円安傾向に転じており、25/2期も営業外で為替差益が発生する見通しから、経常利益では更なる増額が見込まれる。
受注は最大手ユーザーであるアプライドマテリアルズ社の半導体製造装置事業収益が24/10期は売上高199.1億ドル(前期比1.1%増)、営利69.81億ドル(同1.5%減)となったが、25/10期には大きく拡大する見通しにある。特に7月には画期的なマテリアルズ エンジニアリング技術を発表、先端チップのパフォーマンスと消費電力を改善できるとのこと。ロジックだけでなくHBMでも利用できるとのことで、受注急拡大が期待される。また第2番目のユーザーとしてTSMCがあるが、TSMCの24/12期決算では売上高が2兆880億台湾ドル(前期比33%増)、程度推定され、25/12期も3兆6600億台湾ドル(27%増)程度の成長が期待され、設備投資については24/12期300億ドル(前期比1%減)が25/12期には360億ドル以上(20%増)と2022年の363億ドル、過去最高水準を超す可能性もある。このため主力2社向けの拡大が加速する見通し。また前期伸長した中国向けについてもAI向けなどで設備投資意欲が旺盛であり、25/2期は減速見通しも落ち込むことはないとみられる。このほか23年3月にM&Aで子会社化したイアス社の製品群も成長が見込める。主力製品の全自動VPD装置(自動気相分解装置)はSiウエハ中の金属不純物をICP-MS(誘導プラズマ質量分析法:溶液に含まれる元素濃度を高感度、多元素同時に分析できる装置)で自動分析するための前処理装置として開発されたもの。半導体製造は金属汚染管理が重要で高集積度化で従来方法の全反射蛍光X線法(TRXF)では管理濃度が薄く検出限界に達しているため、前処理濃縮法としてイアヌ社の気相分解装置を使って検出限界を2ケタ改善したうえでICP-MS分析する手法が主流になりつつある。売上規模は30億円水準もシナジー効果で売上拡大が期待される。
高採算の半導体関連装置が牽引、AMAT、TSMC向け伸長し収益上伸し連続最高益更新へ
同社の半導体関連装置の主力ユーザーは半導体向けでAMAT、TSMC、マイクロン、FPDでサムソンなど。また最近は中国ローカルが会社設立ラッシュで中国向けも急拡大してきた。現状、先端デバイス向け設備投資でAI半導体など設備増強の動きが加速、とりわけHBMの不足が深刻で、HBM向けの新規受注拡大が期待される。加えて昨今、異種デバイスの積層化や3DNAND以外でマイクロンの「HBM3e」がエヌビディアの新型AI半導体「Blackwell」の中の「B200」「GB200」に採用され、設備投資増強の動きがある。アドバンスドパッケージ用装置では、シリコンウエハ上でパッケージングする中工程が必要となり、複数のウエハを3Dに積層するが、高性能化のためにはウエハを薄くしてTSV(竪穴形成)技術を介して積層数を如何に増やすかがポイントとなり中工程搬送システムの需要が急拡大する見通し。同社はアドバンスドパッケージ(中工程)搬送システム、先端デバイス向けに対応、M&Aで関連技術での新製品群の投入も期待できる。このため半導体関連装置は売上、受注とも過去最高額更新が続こう。
株価は業績好調、特にHBM向けなどが受注拡大、AMAT、TSMCが主力ユーザーでもあり7/1には3530円の上場来新値更新となったが、その後全体相場暴落もあり8/5には1601円まで下落。9/1に1:10の株式分割を実施、10/11に25/2H1好決算で再度上昇、10/31に2531円の高値を付けた後、半導体関連株の下落から同社株価も下押しし、1500円~1600円の水準にある。現在、25/2期会社予想EPS130.07円に対しPER12.5倍はプライム機械平均PER16.7倍に対し割安感がある。またHBM関連でTOWA(6315)16.5倍、は同水準、ディスコ(6146)42.5倍、アドバンテスト(6857)62.8倍は異常高になっていることもあり割安となっている。現状、25/2期も受注、利益が増額含みであり、AI半導体向けでHBM向けなど上伸が続くとみられることから、ややポジティブ継続としたい。
(H.Mirai)
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