1 月 19 日に開催された表彰式の様子
(左:阪和興業 常務執行役員 宮野好史 右:LCA 日本フォーラム 稲葉敦 会長)
阪和興業の主導する「真珠養殖カゴの循環型で持続可能なリサイクルスキームの構築とCO2削減プロジェクト」が第22回LCA日本フォーラム表彰で奨励賞を受賞した。同表彰での水産分野の受賞は同事例が初めて。リサイクルが困難とされている漁具に着目、14の企業・団体の連携、LCAにおいてCO2 排出量の27.8%相当削減が見込める点などが評価された。

同社リリースより引用
同プロジェクトでは、回収した真珠養殖カゴをシュレッド処理によりフレームの鉄スクラップ部分とプラスチック類に分別。それぞれのリサイクルを確立させた。阪和興業は主に鉄スクラップのリサイクルスキームのコーディネートを担った。
鉄スクラップは電炉メーカーで電炉鋼材の生産用として使用し、電炉メーカーで製造された線材を鋼材加工会社で鉄線に加工。その鉄線を養殖カゴメーカーで新たな製品としてよみがえさせることで、「養殖カゴto養殖カゴ」のリサイクルを実現させた。製品は廃カゴ拠出元の真珠養殖業者で再活用されているという。
なお、プラスチック類で構成される網部分は、RPF(Refuse derived Paper and plastics densified Fuelにして再資源化製品へリサイクルされる。
この一連の取り組みにおけるCO2削減効果を東京大学大学院の協力を得て算定した結果、施設間の運搬で生じるCO2排出なども含め、27.8%相当の削減効果が見込めることが明らかとなり、今回の受賞へとつながった。
漁網・ロープなど漁業由来のごみが46%
ある試算データによれば、2050年には世界で 11.2 億トンのプラスチックが生産され、海洋プラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという。また、太平洋ごみベルトに浮遊する海洋プラスチックごみのうち、漁網・ロープなど漁業由来のごみが46%を占めていると結論付けた調査結果もあり、生態系や水産業への影響が懸念されている。
阪和興業グループでは2023年7月から漁具のリサイクルを展開しており、翌24年の1月に日本真珠輸出組合から、真珠養殖のプロセスで何かしらのサステナブルな取り組みができないかという相談を受けたことで同プロジェクトが始まった。
「養殖カゴの鉄線は、ポリ塩化ビニル(PVC)の被膜でがちがちに固められているなど、リサイクルへの課題が多く厄介者扱いとなっていた」と食品・エネルギー・生活資材新規事業推進課の松崎康志課長は当時を振り返る。被膜を外し、鉄資源をリサイクル可能な状態とするのにも高い技術を要するため、それが可能な業者の選定や交渉にも苦労したという。

松崎課長
「今回の受賞により、漁具がリサイクル可能であるという事実を関係者に発信できることをうれしく思う。ただし、漁具を産業廃棄物として処理し続ける限りは大きな費用負担が生じてしまうため、そこをいかに軽減できるかが次の課題となる。業界全体で考えていくべき問題だと感じている」(松崎課長)
(IRuniverse K.Kuribara)