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PILLAR(6490) 25/3Q3決算メモ ポジティブからややポジティブに変更

24/3Q3はスマホ、PC、車載低迷で7.4%減収32.2%営利減、通期も22.6%営利減に減額

株価3845円(2/7) 時価総額 1138億円   発行済株25042千株 

PER(25/3DO予:11.2X)PBR(1.49X) 配当(25/3予)125円 配当性向3.3%

 

要約

・24/3Q3はスマホ、PC、車載低迷の中で投資負担増などもあり7.4%減収32.2%営利減

・25/3Q3低迷、Q4も回復鈍く2.7%減収22.6%営利減予想に大幅減額修正

・26/3期売上高660億円、営業利益170億円目指すが先端半導体以外の回復遅れが懸念

 


24/3Q3はスマホ、PC、車載低迷の中で投資負担増などもあり7.4%減収32.2%営利減

 

 流体制御関連の総合シールメーカー。2/6に25/3Q3決算が開示された。25/3Q3は売上高136.7億円(同期比7.4%減、Q2比11.8%減)、営業利益25.13億円(同32.2%減、同24.5%減)、経常利益29.38億円(同21.7%減、同5.4%増)、税引利益22.39億円(同11.7%減、同16.3%増)、受注134.81億円(同12.7%増、同0.3%減)、受注残134.61億円(同26.2%減、同0.1%減)となった。Q3に入りスマホ、PC、車載向け半導体の動きが鈍く、加えて中国向けの成長減速もあり収益低迷となった。但し受注においては130億円台を確保し底這いに。利益は減収影響に加え、部材高、設備増強による償却負担増などが嵩み大幅な営利減に。

 

 セグメント別では電子機器関連が売上高91.30億円(10.8%減)、営利19.40億円(33.7%減)、受注86.83億円(5.0%増)、受注残高83.53億円(35.8%減)に。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品群の受注が半導体設備投資底打ちで若干増加も、Q2で受注残が適正水準になり、Q3は稼働率低下影響から売上減に。減収の要因は免振装置1.57億円、半導体向けも減少したことが影響した模様。利益面では稼働率低下(6割程度)と福知山第2工場などの設備償却負担増などで営業利益率が28.6%から7.4ポイント低下し21.2%となり大幅減益に。

 

 産業機器関連は売上高44.80億円(0.4%増)、営利5.69億円(26.7%減)、受注47.97億円(2.2%増)、受注残49.79億円(1.4%減)。売上面ではタンケンシールセーコウが好調維持も、メカニカルシールが伸び悩み、半導体製造CMP向けロータリージョイントは漸く在庫調整が終わったもののまだ同期比減で、全体では微増収に。利益面では三田工場の償却負担増などが影響、MIX悪化もあり営利率が4.7ポイント悪化し12.7%となり、2桁減益に。

 

 市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが83.01億円(9.4%減)と低調に推移、土木・建設は免振装置の反動減で1.92億円(45.0%減)、電力・エネルギーも原発向けなど減で11.36億円(12.2%減)、化学も継手、チューブが低調で9.77億円(7.7%減)に止まる。石油・鉄鋼・輸送向けは10.85億円(11.4%増)とタンケンシールセーコウの寄与で増収となったとみられる。

 

 利益の増減要因では、減収影響(値上げ含む)で11.7億円のマイナス、製造経費増1億円(内減価償却費増1.62億円)、販売管理費もスポット費用など2.5億円利益を圧迫した、為替の円安効果で2.6億円。その他コスト削減が若干寄与も、全体で12億円の営利減に。

 

25/3Q3低迷、Q4も回復鈍く2.7%減収22.6%営利減予想に大幅減額修正

 

 25/3Q3の収益低迷、Q4での半導体向けの回復遅れを勘案、25/3期会社予想を大幅減額、売上高570億円(期初計画比50億円減額、2.7%減)、営利110億円(同20億円減額、22.6%減)、経常利益113億円(同12億円減額、25.2%減)、税引利益80億円(同10億円減額、25.8%減)予想とした。

 

 セグメント別では、電子機器関連を売上高387億円(期初計画比50億円減額、2.7%減)、営利90億円(同15億円減額、20.0%減)。半導体関連の回復が見込めず、免震装置も反動減7億円などを見込み、利益は売上大幅減額に加え償却負担増影響で2桁減益見通し。産業機器関連は売上高183億円(期初計画通り、1.1%増)、営利20億円(同5億円減額、31.7%減)予想と、タンケンシールの好調維持から売上面では過去最高を更新も、一方で収益性の高い精密メカニカルシールの回復が在庫調整の影響で微増収にとどまり、利益面では償却負担増やMIX悪化で営利の減額が拡大予想としている。

 

 利益の増減要因では売上減額(値上げ効果10億円を含むと60億円の減額)で11.4億円の減益(期初計画28億円の増益効果予想比39.4億円減額し減収影響に転ずる、11/11予想比でも33.4億円減額)が大きく影響した。その他では材料費、外注加工費、製品MIX変化による影響で8.9億円(同0.1億円良化同1.1億円良化)、製造経費増10億円(期初計画比売上減で9億円縮小、11/11予想比8億円縮小)は償却費増10億円、その他人件費増1億円など)、販売管理費増9億円(同3億円削減、同1億円削減)は人件費3億円、社名変更1000周年記念費など3.5億円が影響する前提に。なお為替影響だけは増益要因で7.1億円(同4.5億円増額、同2.6億円増額)予想とした。

 

 現状、半導体製造装置業界では洗浄装置が堅調、同社最大ユーザーのスクリーンが25/3期収益を1/31に再増額したが、同社は逆に減額修正となり恩恵にあずかっていない。これはスクリーンの棚卸資産が25/3Q2の1929億円から25/3Q3に1769億円に減少、部材調達難の懸念で過剰の手持ち部材在庫を圧縮したことが一因と言えよう。なおもう一つの大手ユーザーである荏原向けはCMP受注が回復しており、減額の要因ではないとみられる。このため、主力ユーザーの在庫調整の影響、下期に期待していた半導体向けの回復遅れが大きく、全体として大きな減額となった模様。

 

 全体を通じ、利益面では積極的な設備投資による減価償却費の増加、人件費増などが嵩む中で、半導体向けの大幅売上減額で稼働率の低下から利益も大幅な下方修正を余儀なくされたとみられ、25/3期は減額修正並みの収益に止まろう。

 

26/3期売上高660億円、営業利益170億円目指すが先端半導体以外の回復遅れが懸念

 

 同社は新中期経営計画で26/3期に売上高660億円、営業利益170億円を目標としている。事業別で電子機器事業が売上高480億円、営利145億円、産業機器事業が売上高180億円、営利25億円を目指している。

 

 現状、25年1月16日に出された半導体製造装置販売予測(SEAJ予想)では、24年度に4兆4371億円(20%増)、25年度は4兆6590億円(5%増)、26年度は5兆1249億円(10%増)予測をアナウンスしている。この中で需要先としてAI サーバー向けGPUが極めて需要旺盛からHBM需要が急増、同社が関わる洗浄工程やCMPによる薄化、平坦化工程の重要度が増す動きから、25年度は市場の伸びを上回る成長が期待される。またWSTSが12/3に発表した半導体市場予測では2024年の世界半導体市場が6268億ドル(19.0%増)で過去最高を更新、2025年6972億ドル(11.2%増)と予測している。なおAI半導体関連の伸びが高く、数量ベースでの伸びは低いとみられ、金額の伸びと比較して同社に与えるプラス効果が小さい懸念がある。但し2025年は国内半導体工場新設で製造装置の設置本格化となる見通し。このため製造装置向けに加え、半導体工場、半導体部材のインフラ投資でも需要増が見込める。25/3期は在庫調整の影響もあり減額修正を余儀なくされたものの受注は回復基調にあり、26/3期は市場の伸びを上回るとみられるものの、先端半導体以外の回復遅れが懸念され、中計達成はハードルが高いとみられる。

 

 株価は期初に25/3期会社予想を減益予想としたため6700円から急落、全体相場が下落した8/5には3905円まで下落、その後もさえない動きで9/9には3865円まで売り込まれ、さらに今回の2/6減額修正で3775円の安値更新となった。今回の減額修正25/3期会社予想EPS343円に対しPER11.2倍はプライム市場機械平均PER16.6倍に対し割安感がある。なお類似事業を行うニチアス10.6倍、バルカー11.4倍とほぼ同じ水準、イーグル工業15.2倍に対し割安感がある。同業界の代表企業であり、主力ユーザーに増額修正が続くスクリーン、またこれからAI半導体向けで急拡大が見込めるCMPの荏原などがある。26/3期は収益上伸が見込まれるが26/3期中計未達の懸念もあり、悪材料を織り込んだとみられるもののポジティブからややポジティブに評価を下げたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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