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山一電機(6941)25/3Q3WEB説明会メモ ポジティブ継続

25/3Q3停滞で25/3期予想を減額、26.3%増収、営利2.7倍に変更も26/3期AIで上伸へ

株価2232円(2/7) 時価総額 487億円 発行済株21,829千株

PER(25/3期DO予9.0X)PBR(1.32X) 配当(25/3DO予)95円  配当利回り:3.6%

 

・25/3QはQ2TSスマホ向け前倒しの反動、自動車向け低迷で1.8%増収7.0%営利増と減速

・25/3Q3の伸び悩み受け25/3期予想を減額、26.3%増収、営利2.7倍予想に変更

・26/3期TS上伸、CSも通信上伸・車載向け回復で23/3期を抜き最高収益更新期待

 

 

25/3QはQ2TSスマホ向け前倒しの反動、自動車向け低迷で1.8%増収7.0%営利増と減速

 

 25/3Q3決算が2/5に発表され、同日WEB説明会が実施された。25/3Q3は売上高85.58億円(同期比1.8%増、Q2比31.3%減)、営業利益3.82億(同7.0%増、同85.6%減)、経常利益7.89億円(同3.1倍、同52.9%減)と同期比では増収増益もQ2比ではQ2の前倒しの反動減などで収益大幅減に。

 

 事業別にテストソリューション事業(TS)は売上高38.88億円(同8.4%増、同46.7%減)、営利3.20億円(同11.9%増、同86.4%減)と同期比増もQ2比大幅減に。全体の5割前後を占めるとみられるテスト用ソケットはクアルコム向けがQ2に前倒しされた分が剥落、バーンインソケットも車載向 けがQ3に減速、MCUも在庫調整影響を受けQ2比減で社内計画を下回った模様。利益面では好採算のテストソケットが同期比ではMIX良化もQ2比MIX悪化で全体として同期比伸び悩み、Q2比低迷に。

 

 コネクタソリューション事業(CS)は売上高43.75億円(同期比3.9%減、Q2比9.8%減)、営利0.65億円(同44.4%減、同81.8%減)に。FA関連がシーメンスを中心にCNC装置向けやPLC向けなどが低迷、車載向けもEV車減速で一服、テレコム向けはデータセンタ向けなど堅調。利益面ではFA関連の不振、車載向けも減速し稼働率低下でもMIX良化で収益悪化。

 

 全体を通じ同期比でTSの増収確保で同期比増収増益確保もQ2に対し反動減から収益伸び悩みに。なお営業外では円安で為替差益が5.25億円あり、円安効果も加わり同期比大幅増益に。

 

25/3Q3の伸び悩み受け25/3期予想を減額、26.3%増収、営利2.7倍予想に変更

 

 25/3Q3の伸び悩み受け25/3期予想を減額、売上高487億円(期初計画比変更なし、11/6増額修正比27億円減額、26.3%増)、営業利益80億円(同5億円増額、同8億円減額、2.7倍)、経常利益77億円(同5億円増額、同9億円減額、2.6倍)、税引利益50億円(同変更なし、同10億円減額、2.4倍)予想とした。

 

 事業別ではTS事業が売上高259億円(期初計画比24億円増額、8/6修正予想比2億円減額、11/6修正予想比15億円減額、63.8%増)、営利73.0億円(同14億円増額、同0.9億円増額、同5.2億円減額、4.0倍)予想。テストソケットではスマホ向が牽引、バーンインもロジックは車載向けが伸び悩み、メモリ向けはNAND向け低調もDRAM向けの拡大が寄与する見通し。CS事業は売上高188億円(同20億円減額、同22億円減額、同11億円減額、2.0%減)、営利7.7億円(同8.2億円減額、同8.2億円減額、同2.6億円減額、17.1減)と、車載向けがQ3に調整、FA不振が大きく影響、通信向けが在庫調整進展で堅調も増加も、減益予想に転ずる見通しに。

 

 現状、TS事業はQ1にクアルコム向けの前倒し影響、車載の不振、メモリ向けもNANDの不振など先端半導体向け以外が伸び悩み、会社計画並みの収益に止まろう。

 

 CSについては通信向けでAIサーバー向けに800G対応の高速伝送用トランシーバ向け需要が高まる一方で、FA関連は欧州向けが中心のため、設備投資の停滞、EV設備投資の見直しなどでさらに低迷が続くとみられる。こちらも通信向けが堅調も、FA、車載向けの不振の影響が勝り、CSも減額修正並みにとどまろう。

 

26/3期TS上伸、CSも通信上伸・車載向け回復で23/3期を抜き最高収益更新期待

 

 同社は新中計として26/3期売上高500億円、営業利益100億円目指している。現状、TSはレガシー半導体向けの回復の遅れがあり、生成AI等の需要が予想以上に盛り上がりを見せているものの、下期の成長が抑えられたが、26/3期は生成AI向け需要拡大で収益の成長が加速しよう。具体的には生成AI拡大でAIサーバー需要が急拡大する見通し。AIサーバーはエヌビディアのGPUを搭載する学習型が先行も、ここにきて推論型の需要も拡大が始まり、DDR5、DDR6の需要が拡大しつつある。また回復が遅れているNANDフラッシュもデータセンタ向けに200層を超す次世代型の投入が下期には本格化しよう。このためメモリ向けバーンインソケットの需要も本格回復しよう。なおロジック向けでは車載向けSoCの拡大が見込まれるが、自動車販売の伸び悩みがから拡大テンポは緩やかな成長に止まる見通し。テストソケットはAIスマホの普及加速などで主力ユーザーのクアルコム向けの拡大が続くとみられる。全体としてバーンイン、テストソケットともに成長の加速が期待される。

 

 CSでは通信向けでAIデータセンタ向けに800G対応の光トランシーバ用コネクタの売上拡大が加速しよう。現在、AIモデルがますます複雑化・巨大化、数十億から数兆ものパラメータを持つことも珍しくなく、大量のデータを高速に処理・転送する必要があり、AIサーバー間でのデータ交換はトレーニングの効率に直結する。大規模なモデルの展開を迅速化するため、GPUクラスターのサイズは数千枚から数万枚へと拡大、OpenAIのGPT-4は数兆のパラメータを持つモデルを訓練するために1万枚以上のGPUカードを採用、いかにコンパクトなスペースに高性能コンピューティングデバイスを統合かが重要でデータセンタの高密度化が進む。多数のGPU間通信の増加で、ネットワーク配線が複雑になり、スイッチのポート密度への要求も高くなる。同社はいち早く800Gbpsイーサネット対応の光通信モジュール用インターフェースコネクタを開発、グローバルでの販売を開始。この製品は、従来型のデータセンタに加え、ハイパースケールデータセンターでの利用も期待される。具体的に800Gの光トランシーバを使用することで、サーバー間のデータ転送速度が飛躍的に向上、トレーニング時間の短縮、Aレイテンシー(遅延)を最小限に抑え、リアルタイム処理や即時応答の向上に直結するため、同社のデータセンタ向け需要の急拡大が続こう。一方で売上構成が大きいFA向けは最大手需要先のシーメンス向けが欧州の設備投資の低迷、EV投資の縮小もあり低迷が継続する懸念がある。車載向けはテスラ向けに情報系の新製品出荷効果が継続し堅調な伸びが続こう。以上、CSでは光トランシーバ向けの拡大が寄与、MIX良化もあり収益の上伸が期待される。

 

 全体を通じ、TS,CS事業ともAIサーバー需要の恩恵を受けよう。特にトランプ政権が発足し、米国内で10万人以上の新規雇用創出を見込む大規模なAIインフラ投資プロジェクト、通称「スターゲート計画(AIDC新増設)」を発表。OpenAIやソフトバンクグループらは、米国に今後4年間で5,000億ドル(約77兆円)を投資し、OpenAIのために新たなAIインフラストラクチャを構築する新会社を立ち上げ、AIデータセンタなどを中心に1,000億ドルの投資を直ちに開始していく方針を打ち出した。延べ面積50万平方フィート(約4万6000平方メートル)という、「壮大な」データセンタの提供を目的とするこの資本提供プロジェクトでの恩恵が待たれる。またAIスマホやEVのAI化などの恩恵も受けるとみられる。さらに通信分野では高速衛星インターネット向け需要も注目される。具体的にイーロンマスクが次世代通信として高速衛星インターネット「Starlink(スターリンク)」を展開しているが、中継局となる衛星は地球を周回しながら通信エリアをカバーしている。これらの高速衛星インターネットシステムには同社の光トランシーバ用コネクタ(CFP2)の採用も拡大しよう。このような環境から、26/3期は中計予想を達成し経常最高益更新が期待される。

 

 株価は5/14の開示で25/3期の収益変化率が高いアナウンスとなった事で高騰、5/20には3865円と2000年来の高値更新となった。その後は半導体関連株の一服もあり、株価が下落、8/3の暴落時には2357円まで売られ、その後もさえない動きに終始、2/5の減額修正

 

 発表修正で2107円と24年度に入っての安値更新となった。現在、25/3期会社減額修正予想EPS246.99円に対しPER9.0倍は、プライム電機PER24.7倍に対し割安感がある。また類似事業を行うヨコオPER16.2倍に対し割安、エンプラスの10.8倍と比較しても割安感がある。今回45万株の自社株買いを発表、今後、先端半導体、AIデータセンタ関連銘柄として評価が高まるとみられ、悪材料を織り込んだと判断、ポジティブ継続とする。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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