新着情報

2025/08/04   日本製鋼所:25/...
2025/08/04   バナジウム市場近況...
2025/08/04   JFE HD:26...
2025/08/04   双日、JOGMEC...
2025/08/04   三菱マテリアル、堺...
2025/08/04   三菱マテリアル、小...
2025/08/04   7月のアルミ概況お...
2025/08/04   日本の定置型電池(...
2025/08/04   7月の銅の概況及び...
2025/08/04   半導体向け ソーラ...
2025/08/04   中国のレアアースが...
2025/08/04   猛暑日本に! ヤー...
2025/08/04   タイヤ:25年6月...
2025/08/04   トヨタの有人与圧ロ...
2025/08/04   中国の電炉と高炉の...
2025/08/04   アジア・欧州・中国...
2025/08/04   レアメタル千夜一夜...
2025/08/04   中国内の人造黒鉛電...
2025/08/04   東京製鐵の鉄スクラ...
2025/08/04   海外の鉄スクラップ...

マルマエ(6264) 25/8Q2決算メモ ニュートラルからポジティブに変更

25/8期60%増収、営利16億円予想変更せず、KMアルミニウム連結で26/8期収益上伸へ

株価899円(4/7) 時価総額117億円  発行済株13053千株 

PER(25/8期単独DO予7.7X)PBR(1.6X)配当(25/8期DO予)40円  配当利回り4.4%

 

要約

・25/8Q2は2.2倍増収、営利5.08億円と上振れ黒転、半導体製造装置受注急回復が寄与

・25/8期60%増収、営利16億円予想変更せずKMアルミニウム連結化で連結決算発表増額へ

・中計で単独26/8期売上高120億円、営利36億円目標もKMアルミ連結実施で上振れ期待

 

25/8Q2は2.2倍増収、営利5.08億円と上振れ黒転、半導体製造装置受注急回復が寄与

 

 半導体・FPD製造装置の真空部品や各種高精度部品を中心に事業展開。主力ユーザーは東京エレクトロン宮城、東京エレクトロンテクノロジーソリューション、日本発条の3社で60%を占める。 25/8Q2決算が4/4に開示され、同日説明資料が添付された。25/8Q2は売上高20.0億円(12/27予想比2.61億円上振れ、同期比2.2倍、25/8Q1比4.7%増)、営業利益5.08億円(同2.52億円上振れ、同期比5.64億円改善し黒字転落、25/8Q1比14.2%増)と急回復を続けた(今回から受注は非開示)。

 

 セグメント別では半導体分野が売上高15.60億円(同期比2.2倍、25/8Q1比2.8%増)となった。ロジック、DRAM生産の回復から顧客の過剰在庫の解消が進み、消耗品受注が回復、また新規ユーザー向けも拡大した。FPD向けは売上高3.65億円(同期比2.1倍、25/8Q1比20.9%増)と、OLED向けでG8設備投資が継続、PV他は低迷続く。

 

 売上総利益率は増収効果により労務費比率が11.1ポイント低下の他、減価償却費負担比率10.4ポイント低下など固定費負担比率減となり、加えてMIX良化などもあり原材料比率なども低下、全体で24.1ポイント改善し35.0%となり、総利益で7.00億円(6.9倍)となった。また販管費比率も増収効果が大きく7.4ポイント低下し9.6%となり、営業利益黒字転換、営利率も同期比31.5ポイント改善し25.4%となった。

 

25/8期60%増収、営利16億円予想に変更ないが、半導体受注急回復で収益増額期待

 

 25/8期会社予想は売上高76億円(60.0%増)、営利16億円(10.3倍)予想を変更せず。半導体分野で61.58億円(73.1%増)を見込む。25/8H1の進捗率は50%と計画線上も、受注好調で四半期毎に増収が見込まれ、会社予想の上振れが見込まれる。FPDは12.24億円(21.4%増)予想と、進捗率54.5%と引き続きOLED向けの拡大を見込む。PVその他は中国PV市場の低迷から2.18億円(19.1%増)と慎重な見方を変えていない。

 

 利益面ではコスト要因として製造原価での償却費8.68億円(7.0%増)、労務費16.08億円(24.0%増)を見込むが、増収効果による稼働率アップ、半導体向けの拡大によるMIX良化などから大幅増益を見込む。なお、一部で設備逼迫が続いており、計画比で増産投資と人員採用の前倒しを計画している。

 

 現状、半導体製造装置においてはAIロジック、HBM関連など、全体として回復が進み東京エレクトロンの好調などが寄与する模様。同社収益も上期の収益について上振れ分が下期減額となっており、実際には期初計画の下期収益予想を確保できるとみられ、25/8期について増額修正の期待がある。

 

中計で単独26/8期売上高120億円、営利36億円目標もKMアルミ連結実施で上振れ期待

 

 同社は中計目標として26/8期に売上高120億円、営利36億円目標に置き、事業別では半導体事業の拡大を柱に半導体で26/8期102億円(既存60億円、新規42億円)、FPD他で18億円予想としている。

 

 

 計画の柱は先端半導体向けで新規顧客の取り込みにあり、既に新規ユーザーからの受注獲得が寄与し始めている。具体的に同社の位置する九州地区はTSMCの熊本新工場JASMの他、九州シリコンアイランドとして数多くの半導体製造企業が立地、この中に新規ユーザーが含まれているとみられる。九州における半導体関連設備投資はJASMだけで第1、第2工場合計で200億ドルとされている。熊本第1工場の量産が2024年12月より開始、ソニーセミコンダクタソリューションズやデンソーへの半導体供給などが見込まれる。また隣接地に第2工場の建設も計画、2025年第1四半期に着工予定で投資額1.5兆円近くにのぼるとみられる。このため、同社の半導体事業はいよいよ回復から本格拡大に向かうとみられる。

 

 

 

 このような中で、同社は25年3/4にアルミニウムのインゴット・ビレット・スラブ・合金の製造・販売、高純度アルミニウム地金の製造・販売を行うKMアルミニウム(以下KMAC)の買収を行った。KMACは大牟田に本社を置き、九州三井アルミニウム工業を源流とする企業。現在は主に半導体スパッタリングターゲット用の高純度アルミニウム製品、アルミ電解コンデンサ用の高純度アルミニウム製品、低圧鋳造鋳物製品、アルマイト製品等を製造販売している。高純度アルミニウムニウム製品は純度99.99%以上の地金やスクラップを自社で溶解し99.999%以上の純度に精製した上で鋳造し販売している。この精製作業は高度なノウハウが有り、一般的には5N5 (99. 9995%)アルミは半導体用スパッタリングターゲット用素材として使用され、5N0 (99.999%)アルミは液晶や有機EL用スパッタリングターゲット用素材として、高い世界シェアを有するとのこと。

 

 またスパッタリングターゲットはレガシー半導体製造に使われ、同社の消耗品ビジネス拡大のシナジー効果が期待される。更に低圧鋳物鋳造製品は半導体製造装置の主要部品(エッチング装置の部品となる真空チャンバー)として使用され、国内最大手半導体製造装置メーカー向けに1996年頃より8インチ機用の試作を開始、2001年頃より量産を開始し延べ3万台の出荷実績を持ち国内リーディング企業として高シェアを誇っているとのこと。アルマイト製品についても使用されるのはエッチング装置部品に使用される表面処理製品(特殊硬質アルマイト)で、真空室での使用を目的に開発された。薬液や反応ガス、イオンの化学反応を使って、薄膜の形状を化学腐食、蝕刻加工する装置の真空室は部品が腐食性ガスやプラズマに晒され、極めて過酷な環境下となるが、耐性に優れ約9割が工ッチング装置用。今回の100%子会社化は4/8に実行される(このため決算説明会は4/10予定)。同社は25/8Q3より連結化されるため、同社は今後連結決算での発表を行う。なお、取得関係費用として9百万円、このための借入金は株式購入資金として97億円、KMAC運転資金として極限度額6億円を設定している。

 

 また暖簾、償却方法、償却年限については未定としている。いずれにしても同社として25/8期は連結決算の開始(KMACは5ヶ月分となり、25/8Q3より連結発表)、26/8期にはフル連結される。26/8期は諸経費などの負担増で売上の大幅増加が見込めるが利益は不確定要素がある。収益率について22/3期などは経常利益率16.7%を誇る高収益企業であるが、26/8期はKMAC統合コストや決算期変更などイレギュラーなコストが嵩むとみられ、利益への本格寄与は27/8期になるとみられるが、中計予想については売上で大幅な上振れ、利益については諸経費を除いた場合に計画を上回るものとみられる。

 

 

 株価は昨年3/28の大幅減額修正を受けて下落、市場暴落時の8/5には1280円まで下落、その後多少戻り、10/11本決算で25/8期大幅回復見通しで一時的に上昇したが、東京エレクトロンをはじめとして株価下落の中で同社株価も低迷、今回、4/4の25/8H1決算発表で会社予想を上ぶれたものの通期予想を変更せず、全体相場下落の中で暴落、4/7は894円安値を付け、引け値も前日比251円安、率にして21.8%下落し899円となった。現在、25/8期単独会社予想EPS84.16円に対しPER10.7倍は、プライム機械平均PER15.1倍(3月末基準)に対し割安で有り、3月末からの日経225下落率12.6%を考慮してもPER13.1倍に対し割安感がある。但し東京エレクトロン15.0倍、エレクトロン向け50%のアバールデータ9.0倍、高周波電源で高エアのダイヘン10.3倍と比較して割安感は無いが、25/8期は増額修正期待がある。更に今回のKMAC連結化により、26/8期以降、収益の大幅な拡大が見込まれる。25/8期DO単独予想EPSではEPS132円想定でPER6.8倍となり、割安感が出てくる。26/8期には連結決算で最高益更新も視野に入るだけに、安値平均PER18.6倍、東京エレクトロン向けが最大手ユーザーであり、また半導体アイランドの九州に本社を構え、九州のKMACをM&Aした事でTSMC向けに消耗品売上拡大も見込め、相場環境が悪い中でも悪材料出尽くしでニュートラルからポジティブに評価を引上げたい。

 

*図表はマルマエ決算参考資料、ニュースリリーズから添付、もしくはIRユニバース加工

 

*東京エレクロトン(8035)、アバールデータ(6918)、ダイヘン(6622)との比較

 

 

(H.Mirai)

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る