まだまだニッチ市場はある? ㈱システムオートパーツ西ブロック・部友会 合同会議に参加して 熊本大学 外川健一
2025年4月5日(土曜日)、福岡市博多駅前のビルの会議室にて、日本自動車リサイクル部品協議会(リ協)のメンバー団体である、 ㈱システムオートパーツの西ブロック会議と一般社団法人部友会の合同会議が開催された。
日本自動車リサイクル部品協議会(リ協) https://www.japra.gr.jp/
㈱システムオートパーツ:https://sap-net.co.jp/
一般社団法人部友会:https://buyukai.net/
今回は、この2月に新たに業界でも最大手といわれている、NGP日本自動車リサイクル事業協同組合が、昨年誕生した各グループのシステムを接続した、自動車リサイクル部品の共通ネットワークオールリサイクルパーツネットワーク(ARPN)の使い勝手や、これを利用しての販売拡大に向けた議論が行われる予定だった。
ARPNは既に2023年度にリ協のメンバー(https://www.japra.gr.jp/organizations/description )である一般社団法人ARN、株式会社ビッグウェーブ、一般社団法人JARAグループ、一般社団法人SPNが保有するそれぞれのリサイクル部品在庫管理・流通ネットワークと、リ協と同じ事務所に事務局がある株式会社JAPRAのシステム(㈱システムオートパーツ、一般社団法人部友会、シーライオンズクラブ、手クルスネットワークが利用しているサイクル部品在庫管理・流通ネットワーク)が、どこかのグループに入っていれば、お互いの在庫を確認し、部品の融通ができるシステムである。これにNGP日本自動車リサイクル事業協同組合がこの2月下旬に加わったことで、品質の良いリサイクル部品の国内流通の増加と、彼らの取り扱うリサイクル部品の売り上げ増が期待されている。
リ協では、2月に福岡と東京、3月に大阪でARPN会員交流会を開催しており、筆者も東京会場、大阪会場に顔を出したが、どちらでもフロントマンから部品の生産担当者(リサイクル部品を解体車から取り外し、付加価値をつけて販売できるようにすること)、営業担当者など、社長や経営陣以外の現場のメンバーとお話しする機会があり、貴重な時間を過ごせた。(東京会場はNGPの参加者が比較的多く、大阪会場では少なかったようだが。)
ところで、業界最大手のNGPがこのARPNになかなか参加しなかったが、リサイクル部品市場の活性化と販路拡大のため、ようやくこの2月下旬から参加しているが、現在は思ったほどお互いの部品の流通は進んでいないという意見も聞いた。実際、NGPの在庫を購入するケースが、NGPのメンバーが他のメンバーの部品を購入するケースより多いそうだ。まだ、このシステムは始まったばかりなので、今後の展開を見守りたい。
さらに今回は ㈱システムオートパーツ西ブロックのメンバーと久しぶりにお会いした方々もいれば、初めてお会いした方など、筆者には良い勉強の場にもなった。
今回の合同会議で筆者が驚いたのが、 ㈱システムオートパーツ西ブロックのメンバーのうち、数社最近開業したという会社があったことである。その場合、既存の大手業者からののれん分けであったり、スクラップ専業からの参入であったり様々なケースがあったが、この業界は少子高齢化、外国人経営者の急増で、未来は暗いと感じていた筆者にとって、日本人の若手が新規参入するケースもあると身をもって知ったのは新鮮であった。
どの業者も解体車両の仕入れ難(オークションの落札価格の上昇傾向)と、現場での労働者不測が課題として挙げられた。一方、外国人は良く働くという意見もしばしば聞いた。外国人にとってまだ走るのに廃車となる日本の解体ヤードは宝の山だと考えられるケースがまだ多いのであろう。今回新規参入した業者の中には、このような外国人との連携を行いながら商売を展開している者もいた、一方、後継者として外国人に会社を譲る予定だという老舗業者のお話も聞いたりして、いろいろ考えさせられた一日であった。
(Togawa)
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