重要鉱物、中国依存で世界市場に混乱リスク IEAの2025年レポート、中期にも改善難しく
国際エネルギー機関(IEA)は5月21日、ホームページ上で、2025年の世界の重要鉱物市場を展望したレポート「Global critical minerals outlook 2025」を発表した。精錬や加工が中国に集中する中で輸出規制などの資源の武器化が進む中、世界の重要鉱物市場は混乱のリスクに直面していると指摘した。
プレスリリース;Global Critical Minerals Outlook 2025
IEAはレポートで、「2024年はリチウム需要が30%増えたのをはじめ重要鉱物需要が大きく伸びたにもかかわらず、中国、インドネシア、コンゴ民主共和国(DRコンゴ)が主導する大幅な供給増加が、特にバッテリー用金属の価格に下押し圧力をかけた」と指摘した。バッテリー用金属価格は「2022年までの急騰の反動もあり2023年以降は急落した」とも述べた。このうちインドネシアのニッケルやコンゴのコバルトは中国企業が生産・加工に従事しており、実質的に産業を支配している。
精製の地理的な集中が供給網(サプライチェーン)のリスク要因になっているとの懸念は強い。IEAによると、主要エネルギー鉱物の精製国上位3カ国の平均市場シェアは、2020年の約82%から2024年には86%に上昇した。これは、供給成長率の約90%が、ニッケルのインドネシアとコバルト、グラファイト、レアアースの中国という単一のトップサプライヤーによるためだという。
特に中国はほぼすべての鉱物の精製供給国として支配的で、2035年までの中期スパンで見ても、リチウムとコバルトの60%以上、バッテリーグレードのグラファイトと希土類元素の約80%を精製し続けると予想した。
中国(赤色)はほぼすべての重要鉱物の精製で支配的
(出所:IEA)
同様の傾向は採掘もほぼ同じで、やはり2035年までのスパンで見ても改善される見通しが立たない。
このため、IEAは「市場が集中していると、何らかの理由で最大の生産国からの供給が中断された場合に、供給ショックに対する脆弱性が高まる」として、「現在の重要鉱物市場は供給が十分にあるように見えるかもしれないが、輸出制限と供給の安全保障に対するリスクは増大している」と警鐘を鳴らした。解決には、供給元の多様化とリサイクル率の引き上げ、各国の連携が必要だと説いた。
(IR Universe Kure)
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