工作機械工業会4月受注確報 4月7.7%増1302億円と7カ月連続同月比増
4月工作機械受注1302億円(7.7%増)と7カ月連続同月比増も23年4月比では1.9%減
5/22の15時に日本工作機械工業会の2025年4月工作機械受注確報が開示された。4月受注は1302.14億円(同月比7.7%増、前月比13.8%減)と7カ月連続同月比増加、前月比では年度末比ということで2ケタ減となった。なおこの水準は23年4月比1.9%減で、力強さに欠ける展開が続いている。
外需13.4%増958.35億円と7カ月連続同月比増ながら2カ月ぶりの1000億円割れ
外需は958.35億円(同月比13.4%増、前月比5.9%減)と7カ月連続同月比増も、前月比では3か月ぶりに減少し2カ月ぶりに1000億円割れとなった。主要4業種中で電機・精密を除き同月比増、前月比では航空・造船・輸送用機械のみ増加した。一般機械は292.2億円(同月比13.9%増、前月比8.2%減)と再度300億円割れに。自動車は231.0億円(同月比11.0%増、前月比3.2%減)と2ヶ月連続で200億円超え。電気・精密は118.9億円(同月比3.9%減、前月比31.6%減)と主要3極全てで減少、特に前月比3割減は他業種比でも突出して悪い。航空・造船・輸送機械は81.6億円(同月比65.4%増、前月比6.4%増)で、前月比欧州半減も北米・アジアでカバーした。
主要3極別ではアジアが482.4億円(同月比15.0%増、前月比13.1%減)と、13カ月連続同月比増、13カ月連続400億円超と堅調持続。東アジアは391.1億円(同月比22.5%増)で、このうち中国が339.8億円(同月比27.9%増、前月比5.8%減)で2カ月連続300億円超えに。中国の主要4業種全てで同月比増。一般機械108.1億円(29.2%増)と、ロボット向けなどにNC自動旋盤などが好調、自動車133.6億円(46.8%増)は34カ月ぶりの130億円超えでBYDなどのEV投資継続が寄与している。電気・精密も69.6億円(22.8%増)と、家電向けなども復調している。全体として中国の工作機械NC化向上促進への補助金政策が継続、一部対象を広げ回復が継続している。その他アジアは91.3億円(8.9%減)で、インドが47.4億円(同月比14.5%減、前月比51.7%減)と、9ヶ月ぶりに50億円割れとなったのが響いた。
北米は320.3億円(同期比41.1%増、前月比17.4%増)。このうちアメリカは272.3億円(同月比44.1%増、前月比10.2%増)と3カ月連続同月比、前月比ともに増加した。米国主要4業種では一般機械95.1億円(36.0%増)と建機向け大型受注が寄与、航空・造船・輸送用機械37.1億円(14.9%増)、自動車が29.1億円(23.9%増)なども好調。一方、電気・精密は9.7億円(62.1%減)に止まる。なおメキシコが39.68億円(2.4倍)となっており、トランプ関税問題が影響しても人件費の安いメキシコでは米国に近いこともあり需要が減らない状況に。一方でカナダは8.31億円(61.7%減)と人件費の高さでトランプ関税の影響が出ている模様でメキシコとは対照的な動きとみられる。
欧州は137.8億円(同月比18.7%減)と16ヶ月連続同月比減、再度2ケタ減に。ドイツ33.8億円(同月比1.7%減)と17ヶ月連続減、イタリアは23.6億円(同月比14.9%減)と18カ月ぶりに同月比増の前月から再度減少に転ずる。その他はフランス13.71億円(20.1%減)、イギリス15.17億円(10.7%減)、トルコ13.61億円(34.8%減)など、総じてさえない。主要業種4業種では一般機械を除き同月比減。一般機械が45.0億円(5.2%増)、一方で自動車14.6億円(49.9%減)で5カ月連続の20億円割れでEV不況の影響が大きいとみられ、電気・精密10.3億円(34.8%減)も6ヶ月連続20億円割れと厳しい。航空・造船・輸送用機械も15.7億円(30.1%減)と3カ月ぶりに20億円割れる。
外需全体ではアジアが牽引、EU不振継続で、米国はトランプ関税影響がまだ顕在化していない。全体では1000億円割れも高水準を維持、中国は減少傾向が見られず税制優遇政策が支える見通しとしている。加えてトランプ政権の関税問題が今のところ顕在化しておらず、10%程度の関税上乗せであれば価格転嫁でしのげる可能性があるとして、今後も大きな落ち込みはないとの雰囲気も出てきたが、依然として先行き不透明要素は多い。
内需343.8億円(同月比5.5%減、前月比30.2%減)と2カ月ぶり400億円割れ
内需は343.8億円(同月比5.5%減、前月比30.2%減)と2カ月ぶりに400億円割れ。主要4業種は同月比で自動車、電機・精密が増加。一般機械は150.2億円(同月比17.1%増、前月比21.6%減)と4カ月ぶりに同月比増で2カ月連続150億円超え、建機向けなどが強い。電気・精密は48.3億円(同月比9.8%増、前月比9.5%減)で3か月ぶりに同月比増。一方、自動車は52.7億円(同月比40.4%減、前月比55.8/%減)と3月に予算消化、期末効果などに対し、トランプ関税影響などもあり大幅反動減となった可能性も。
全体として内外ともにリスク要因、不透明感が強く、特に自動車はEVの不透明、自動車関税などの動きなどで投資先送り懸念があり、受注の本格回復は後ずれ懸念高まる。
4月販売31.3%増1268億円、受注残10.9%減6958億円は21/10以来の低水準
4月販売は1268.54億円(同月比31.3%増)と5カ月連続同月比増も前月比大幅減に。単月で2000億円超えた3月比では42.0%減と年度末に加えトランプ関税問題などから駆け込み出荷もあったと推定される3月からの反動減とみられる。受注残高は6957億円(同期比10.9%減)と23/6以来同月比減を続け、2カ月連続の7000億円大台割れとなった。
4月工作機械4社受注15.5%増、業界伸び率上回る伸び続く
日刊工業新聞が集計している工作機械主要4社の4月受注が5/16に発表された。4社合計で360.46億円(15.5%増)と伸張、工業会の伸び率を上回る状況が続いている。
オークマは162.08億円(40.3%増)となり、このうち輸出が58.03億円(30.6%増)、国内104.05億円(46.4%増)。輸出が単月として過去最高額更新となった3月に続き3カ月連続で100億円超え。中国でEV向け(多分BYD)、大型機を受注、米国でも航空宇宙やエネルギー関連、医療機器向けで受注が拡大した。
牧野フライスも93.71億円(15.7%増)、輸出が71.89億円(18.2%増)となり9カ月連続増加、航空機向けなどが増加している。
芝浦機械は14.21億円(10.2%増)で国内が10.96億円(18.4%増)と3カ月連続増に。
ツガミは90.46億円(12.0%減)で、輸出が87.96億円(9.2%減)と8カ月ぶりに減少も春節明けで大きく伸びた前月の反動減で、高水準を維持している。
全体として工業会の伸びを上回っているが、複合機、高機能機、大型機、米国、中国に強みを持つなどで差別化できていることが要因とみられる。一方、全体では専用機や中小企業向けなどをメインとする工作機械会社では受注減が続くなどで赤字転落するところもあり、業種内格差が広がっている。このような中で、業界再編、M&Aなどの動きが続いているが、牧野フライスのニデックによるTOBは失敗に終わっている。
(H.Mirai)
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