中国商務省のスポークスマンは6月27日、ホームページ上で、中国が4月から実施しているレアアース輸出規制を巡り「法律に従って適格な規制品目の輸出申請を審査し、承認する」と述べた。レアアース輸出再開への期待が高まっている。
■中国輸出再開と米国の制裁をトレード
プレスリリース:商务部新闻发言人就中美伦敦框架有关情况答记者问
スポークスマンは、6月9-10日にロンドンで行われた米中閣僚級会議の結果について、米側がレアアース輸出の再開に言及していることに対するコメントとして発表した。会議の結果、「両国間で一定の枠組みについて合意があった」と認めた上で、中国の輸出審査の進展を受け、「米国は、それに応じて中国に対する一連の制限措置を解除する」とした。
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■一部企業の認可は既に伝わるも、軍用品は規制続くとの見方
これに先立ち、ラトニック米商務長官が6月26日、米ブルームバーグテレビのインタビューで、米中の両国がロンドンの貿易協議での合意文書に署名したことを明らかにしたと伝わっていた。中国側がレアアースの供給を再開すれば、米国側は半導体の設計に使うソフトウェアやジェットエンジンの部品などの輸出制限を解除する内容だという。
中国は4月初めにサマリウムやジスプロシウム、テルビウムといった中重希土類の輸出に申請を義務付ける輸出規制を導入した。その後、自動車産業を中心に世界的にレアアース不足による混乱が広がり、中国側としても輸出規制は収入減につながることから、一部で再開の兆しが伝わった。
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ただ、中国国内では戦略的意図から軍用向けの規制は続くとの観測も根強い。今回の商務省の発表でも審査を進める「規制品目」の内容までは明かしていない。米中の関係次第ではいつでも方向が反転する可能性がある。
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(IR Universe Kure)