三井化学 「廃プラスチック分解油の精製技術開発」がNEDOの実用化開発プログラムに採択
~サーキュラーエコノミーの実装に向けた技術革新~
三井化学株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:橋本 修)は、7月2日、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みの一環として推進している「廃プラスチック熱分解油の精製技術の開発」が、国立研究開発法人 新エネルギー‧産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発‧社会実装促進プログラム(実用化開発)」に採択されたと発表した。
同事業は、廃プラスチックを熱分解し、得られた廃プラ分解油をナフサクラッカーに投入することで新たなモノマーを生成し、再生プラスチックへと転換する「油化ケミカルリサイクル」に関する技術開発になる。
クラッカーに投入可能な品質の廃プラ分解油を得るためには、油化原料となる廃プラを限定し、廃プラ分解油に含まれる不純物濃度を適切にコントロールする必要がある。現在サーマルリサイクル(熱回収)されている廃プラには異種混合・複合プラスチックが多く含まれており、これらを熱分解して得られる廃プラ分解油には高濃度の不純物が含まれるため、クラッカーへの投入は困難であるという課題がある。
こうした不純物を除去する方法として、水素化精製などが知られているが、高温‧高圧を要するため多量のエネルギーが必要となる。今回採用された技術は、熱分解条件の最適化、常温‧常圧で行う化学処理を組み合わせたもの。この技術によって、不純物を効率よく取り除くことができるようになり、その結果、従来の方法と比べて、約70%のエネルギーを節約できると期待される。この革新的なアプローチが高く評価され、NEDOのプログラムに採択される運びとなった。
同技術の実用化により、これまでサーマルリサイクルに回されていた異種混合・複合プラスチックも油化ケミカルリサイクルの原料として活用可能となることから、持続可能な社会の実現に大きく貢献することが期待される。
三井化学の大阪工場にあるクラッカーでは、2021年12月よりバイオマスナフサの投入を開始し、2024年3月からは廃プラ分解油の投入も開始。マスバランス方式に基づく製品生産を進めている。バイオナフサ活用と廃プラ分解油によるケミカルリサイクルの両輪で、石化原料からの原料転換を進め、日本初のバイオ&サーキュラークラッカーを実現し、サステナブル(持続可能性)を超えたリジェネラティブ(再生的)社会の実現に貢献していく。
(IR universe rr)
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