国内の鉄スクラップ市況は横ばい。依然として発生少なし、加えてのいわゆる夏枯れでなお流通量は減少している。需要面では電炉は減産続き。建築向けがふるわないことが最大の原因。輸出向けは上級品種については購入意欲旺盛。バングラデシュは季節的な要因と経済不振でスクラップ輸入の需要減だが、新断以上の上級品については事情は若干違うようだ。
H2で東鉄買値がトン40,000円前後、市中実勢ではトン38,000円前後、新断バラは東鉄でトン42,000円前後、市中実勢では40,000円前後、で推移している。
先週8日に行われた関東鉄源ではトン41,888円(H2/FASベトナム向け)となった。また12日に行われた中部鉄源協議会の8月度新断テンダーは、7月比トン1100円UPの46,000円(FAS)と大幅高。
鉄スクラップトレーダーによると
「この値段は特別おかしな値段ではない。すでにH2でFOB46,000円は出ていた。インド、ブラジル、ナイジェリアからも上級くずは買いたい、というオファーがある。ポスコも電炉化でまずは上級品種が欲しい。国内も高炉は上級品種。しかしこの新断の発生がきわめて弱いのでなお相場は高騰。H2との値差はさらに広がっていくことになるだろう」とのこと。
バングラデシュ向けのHMS(1&2MIX)はCIFトン350~355ドル、インドCIFで360ドル。為替147円で計算すると、バングラ向けはトン当たり51,000~52,000円、インド向けは53,000円前後、となる。
(最近3か月の東鉄田原H2価格と市中実勢H2価格の推移)
(最近3か月の新断バラ市中実勢価格と中部鉄源テンダー価格の推移)
(*新断は上げ傾向が続くがノミナル化)
再びスクラップトレーダーS氏
「結局、国内メーカーが荷受け制限、荷止めも行っているなかで新断の値段だけが上がっているというのはおかしな状況
ではありますが、それなりに需要はある。ほしいところはそれこそ新断で45,000円~46,000円だしている。そうでないところは東鉄レベルとバラツキあり。市中実勢もノミナル化している」とのこと。
こうした状況下ではあるが、鉄の需要環境はいまひとつ。ふたつ。
例えば自動車産業。建築向けはしばらく低迷が続くとみている。
トランプ関税の影響は自動車城下町ではいまなお影響は色濃く出ている。マツダの広島然り、三菱自動車然り。。米国に生産拠点がなく(三菱はかつてはあったのだが・・・)米国向けの輸出比率が高い自動車メーカーほど業績が悪化しており、生産も落ち込んでいる。
そしてスクラップでも発生減、需要減とダブルでマイナスを蒙っている。
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マツダの2025年4~6月期の連結決算は、最終損益が421億400万円の赤字となった。これは、前年同期の498億1400万円の黒字からの大幅な落ち込み。2026年3月期通期の純利益は、前期比82.5%減の200億円と大幅な減益を見込んでいる。
2025年4~6月期決算:
売上高:約1兆997億円(前年同期比8.8%減)
営業損益:約461億円の赤字
最終損益:約421億円の赤字
2026年3月期業績見通し:
純利益:200億円(前期比82.5%減)
主な要因:
米国における関税の影響(営業損益ベースで697億円押し下げ)
販売奨励金の増加
研究開発費や減価償却費の増加
2025年5月12日に発表された2024年度(2025年3月期)決算:
売上高:5兆188億円(前年度比4.0%増)
営業利益:1861億円(同25.7%減)
親会社の所有者に帰属する当期純利益:1140億円(同45.1%減)
2025年度(2026年3月期)業績見通し:
未定(米国政府の関税政策の動向など不透明な状況のため)
三菱自動車は、2024年度通期決算で減収減益となり、2025年度も厳しい経営環境が予想されている。特に、米国での関税政策や為替変動の影響が大きく、業績に悪影響を与えている。一方、ASEAN地域での販売不振や競争激化も課題となっている。
三菱自動車は、米国での関税対策として、筆頭株主である日産自動車の現地工場での生産を検討するなど、対応を模索している。また、販売環境の厳しさを認識し、業績の維持に努めるとしている。
マツダ、三菱の城下町は厳しい夏、厳しい経済が続く・・・。
(IRUNIVERSE YT)