電炉メーカーが原料のスクラップ(鉄屑)を溶かすために使用する人造黒鉛電極のスポット価格が異常な状態になっている。前回の記事「人造黒鉛電極、環境激変でスポット価格高騰」で、環境が様変わりしスポット価格で2~3割高の価格が出てきたことを掲載したが、ここにきて更なる異常値がではじめている。
中国での地条鋼廃止に伴い、電極を用いない誘導加熱炉から、電気炉への製法転換の動きがあり電極需要が高まっている。一方で、中国政府の環境規制から電極の生産が制限されている。加えて、原料のコークスの一部が、リチウムイオン二次電池の負極に使用されるということでその需要が高まっており、電極の原料として回ってこないことも電極の生産を阻害している一因になっている。原料調達できないという点ではインドも同様で、インドでも電極の生産量が著しく減少している。
世界的にみて、数か月前まで最も需給が緩んでいたアジアが、現時点で最もタイトな状況に激変した。このため、電極のスポット価格は前回の記述した2~3割高ではなく、5倍程度の価格帯まで出てきている状況だ。実際この価格で取引されているのかどうか定かではない。中には、東南アジアの一部には10倍近くのオファーが出てきたとの話まである状況だ。
こうしたスポット価格の動向は、10月からの国内価格(長期契約)にも影響することは必至であり、これからの価格交渉に注目したい。今月末から8月にかけて、上場会社の決算発表があるため、その時点で少なからず電極の状況が明確になるものと思われる。
(IRuniverse 井上 康)