
欧州の自動車やバッテリー産業の組織EUROBAT Association of European Automotive and Industrial Battery Manufacturersは、9月11日に新たなメンバーとして日本の三菱鉛筆が賛助会員として参加したと発表した。
日本の文房具の品質は世界中でも高い評価が得られている。これまで文房具メーカーとして認知されていた三菱鉛筆は、鉛筆の分野ではユニと言う商標で硬さの違いでB~6B、HB、F、1H~9Hと硬度の違いで17種類の鉛筆を製造している。
この鉛筆の原料が黒鉛である。黒鉛は鉛筆以外には、ゴムに混ぜてタイヤや、ブレーキ材料、自動車の部品ではワイパーなどの表面にも混入されている。黒鉛は目立たない材料分野では、自動車部品の小型部品の製造で鉄粉などに混ぜて焼結部品でも使用されている。
黒鉛と同じ炭素原子からカーボンナノチューブ”CNT”なども開発されて、新たな用途が注目されてきたが、三菱鉛筆はカーボンナノチューブをバッテリーの導電性を改善する導電助材として活用を提案している。
ナノサイズの物質は、非常に取扱いが難しく、粉体を均質に分散して液状化する技術が必要となり、均質化作業時に人体への安全性も懸念される。CNTは吸入すると肺などへの影響が懸念される。三菱鉛筆はCNTを安全にかつ高濃度の液状化技術を、ボールペンなどのインク製造技術を応用して開発に成功している。
この技術は、更に各種の特殊カーボン材料にも応用し、燃料電池などへも応用する提案も行っている。三菱鉛筆は既に本業の事務用品から化粧品分野などにも進出している。同社が今後大きく拡大するEV車分野へ進出する可能性がEUROBATへの賛助会員の参加で、少し明らかになってきた。
(IRUNIVERSE Katagiri)