2026年1月21日から23日にかけて、東京ビッグサイトにて第18回オートモーティブワールド クルマの最先端技術展が開催された。本稿では、同時開催された第5回スマート物流EXPOで展示されたFDK株式会社の電池製品について報告する。
FDK株式会社は持続可能な社会の実現とその発展に貢献するため、電池技術を中核とした製品とソリューションを展開している。同社の売上の約80%は電池関連事業が占めており、多様な産業分野や用途に対応した製品を展開することでエネルギー利用の高度化と安定供給を支えている。
二酸化マンガンリチウム一次電池
FDKの主力製品の中でも事業の主軸に位置付けられているのが、二酸化マンガンリチウム一次電池である。この電池の特徴は自己放電が少ないという特性を持ち、最長20年という長寿命を実現している点だ。また、使用可能な温度範囲は-40度から85度と広く、屋内外で使用されるIoT機器やインフラメーターなど、長期間にわたり安定した電源供給が求められる用途を想定している。
ニッケル水素電池
FDKの主力製品の一つとして、ニッケル水素二次電池が紹介されていた。近年、二次電池の代表例として使われているリチウムイオン電池はエネルギー密度が高い一方、可燃性電解液を使用している点や低温環境下では十分な性能を発揮しにくいといった課題も指摘されている。これに対し、FDKのニッケル水素電池は低温環境下でも使用でき、長期間にわたる充放電サイクルへの耐性があり、かつ自己発火の危険性が低い水系電解液を使うことで高い安全性を実現している。
本電池はリチウムイオン電池の使用が厳しい航空輸送や船舶輸送など、輸送途中に電源を確保できない環境においても安全性の高い電池として繰り返し使用できる設計となっている。
ニッケル亜鉛電池
FDKは現在、ニッケル水素電池の正極技術や構造技術とアルカリ乾電池の亜鉛負極技術を適用した「ニッケル亜鉛二次電池」の開発に取り組んでいる。この電池は正極に水酸化ニッケル、負極に酸化亜鉛、電解液に水酸化カリウム水溶液を使用しており、鉛蓄電池と類似した充電方式を採用している。ニッケル亜鉛二次電池は鉛蓄電池の直接の置き換えを可能としており、有害な重金属を含有しない高い環境適合性と安全性を備えた、新しい二次電池として注目されている。
従来、ニッケル亜鉛電池は充放電時に亜鉛が溶解および析出を繰り返すため、セパレーターを破損して短絡を引き起こすという課題があった。これに対してFDKはセパレーター技術の革新により、この課題を解決して実用化を図っている。鉛蓄電池の約半分の重量であることに加え、リサイクル性の高い亜鉛を使用している点も大きなアドバンテージだ。現在、同電池は充放電サイクル評価試験において1,000サイクルに到達しており、群馬県高崎工場で実施されている屋外実証実験では、約1年半の経過が確認されているとのことだ。
FDKの電池開発は単なる高エネルギー密度の追求にとどまらず、幅広い材料技術を活用し、従来技術を応用しながら、低温から高温までの過酷な環境下でも安定して使用できることを重視している点が印象的であった。リチウムイオン電池における火災リスクなどといった電池の安全面への懸念が注視される昨今、安全性が高く低温環境下でも使用可能なFDKの電池技術は、物流やインフラ、IoTといった分野における安全かつ現実的な選択肢として、今後の展開が期待される。
(IRuniverse Midori Fushimi)