前回、前々回(第1/2回)は自動車用半導体の種類について説明した。今回は実例をもとに具体的な説明に入る。
ECUの例として、ドライバモニタ‐用ECUについて紹介する。自動運転時におけるドライバの状態に着目し、ドライバが運転に集中している状態かを推定するドライバモニタリングシステムを希求しているケースが多い。
- ドライバモニタ基板
Fig1は中国系自動車に搭載されているドライバモニタECUである。実際はアルミ製の筐体で保護されている。部品の種類はブロックごとにカウントされている。


AI Processor MCU
Fig1 中国製自動車ドライバモニタ用ECU部品面と裏面
部品総数は680点である。1個0.005ドルのチップ抵抗器も8ドルするプロセッサICも1個としてカウントしている。部品種類ごとにランクをつけると①コンデンサ325個②チップ抵抗器:255個③IC:22個、④ダイオード:14個、⑤水晶振動子4個、⑥トランジスタ:3個そのほか機構部品という構成になっている。
現在なお半導体の供給状況が不透明であるといわれているが、当該ECUには重要なICが2種類搭載されている。なお、定義上でいうとIC,ダイオード、トランジスタが半島体の範疇に入るが、今供給の問題を提起しているのはICである。Fig1の赤い矢印が示しているものだ。
① AIプロセッサ:Dual ARM Cortex A53 up to 1GHz, 28nm,Automotive
② MCU: ARM Cortex M4F Cosre 80MHz, 1Mb Flash 90nm. Automotive
①は製造ファブとしてTSMCあるいはUMCで生産されているとみられる。
ECU部品回路ブロックごとの部品種類、部品点数、ブロックごとのコストをFig2に表としてまとめた。

Fig 2 ドライバモニタECUの回路ごとの部品種類と数量および価格
部品の種類ではI/Oインターフェースが全体の45%を占めている。次いで信号処理ブロックが20点23%となっている。

Fig3 は回路ブロック別部品種類、Fig4には部品点数, Fig5は部品金額ごとの比率と実数をそれぞれグラフにしたものである。
なお部品種類は①ダイオード、トランジスタなどDiscrete Semiconductor ②コネクタ、PCBなど③ IC ④機構部品 ⑤抵抗器、コンデンサ、コイル、水晶などを示す。
(椿匡之)