5月22日から26日までのコバルト市場の値動きについて、中国市場と国際市場を見ていく事にする。
中国市場ではサマリウムコバルト磁石や合金、超硬合金を取り扱う事業者は前月と同様もしくはそれ以上に「不活発」と言われるまでの状態に陥っている。
四酸化コバルト 73.5%minの価格は RMB158‑163/kg (USD22.4‑23.1/kg) と前回のレポートと比較しても横ばいでありながらほんのりと値が下落しつつある。売り手も買い手も大きな行動を取らずにお互いが牽制しあっている様な値動きだ。
硫酸コバルト 20.5%minについてはRMB34,500-36,500/t (USD4,883-5,167/t)とやや値を上げている。ただ米ドル基準で見れば前回レポートよりは安価となっている為、人民元に対し若 干のドル高となっている。
中国でのNCM523プリカーサの取引価格はRMB80,000-83,000/t (USD11,324-11,749/t)とこちらも先月比と人民元は変わらないもののドル高の傾向を見せている。
中国国内市場はコバルトの需要創出に躍起になってはいるものの、どういった事業もまだ需要をそこまで喚起できていない状況にあると見ていいだろう。

硫酸コバルト(20.5%min China)(RMB/ton) 3ヶ月の値動き

NCM523プリカーサ(Delivered China)(RMB/ton) 3ヶ月の値動き
国際市場のコバルトの値動きは悪い意味で前回と違う値動きとなってしまっている。
ヨーロッパのコバルト金属 99.8%minは13.8〜14.0米ドル/ポンドとこちらは大幅に価格が下落。
また北米のコバルト金属99.8%minは14.8〜 15.0米ドル/ポンドとこちらについても硬直気味どころか大幅な値下げを見せている。
前回のギリギリ持ちこたえられるかという見込みから、大きく値を下げ需要が落ちつつある状況となってしまった。

LMEコバルト(US$/ton) 3ヶ月の値動き

LGコバルト(Co 99.3%)($/LB) 3ヶ月の値動き

HGコバルト(Co 99.3%)($/LB) 3ヶ月の値動き
前回のレポートと比較して、市場の二極化こそ起きているものの中国市場と国際市場の反応は全く違う状況となっている。
価格が平行線を辿る中国に対して国際市場は現状非常に厳しい状況に置かれている。
中国国内での価格硬直の影響が国際市場に対し吉と出るか凶と出るか、未だ注視が必要な状況だ。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)