秋晴れの10月4~6日幕張メッセで高機能素材、ファインテク展が開催されている。進化しているセラミックス協会のブースで新技術の開発状況を見た。
東芝は窒化ケイ素で球状ベアリングを提案している。鉄鋼のベアリングの重量が3/7と半減するだけではない。窒化ケイ素のボールは表面の摩耗を防止できる為、ベアリング寿命の延長も期待される。特に期待されるのは長時間運転される風力発電の風車を支える用途と、ベアリング重量でも貢献すると期待される。

AGCセラミック㈱は、高純度Cordieriteコージェライトと言う材料を開発した。コージェライトは、シリカ49%、アルミナ38%、マグネシア12%を電気溶融後、固化・粉砕した高純度材料で、半導体製造時にシリコンウエハーを保持するサセプター(シリコンの下の台材)や熱処理の治具の役割を果たし、プラズマ熱処理などにも耐え、石英ガラスの代替化にも寄与する。

これらの新規材料の開発に加えて従来のセラミックスは、原料セラミックスの微粉砕技術が進化したことで、フィルター分野で温暖化ガスの分離機能などが進化している。セラミックフィルターは洗浄などが容易で、再利用も可能である。
東北大大学院工学研究科付属先端材料強度化学研究センターは、“コールドスプレープロセス”と言う耳慣れない技術を開発している。教授の小川和洋先生が直接説明してくれた。非常に珍しい接合技術で金属、セラミックス、ポリマーなどの微粒子を高速度で噴射して微粒子を常温で積層できるとした。
どの様にこのアイデアが出てきたのかを質問してみた。元のアイデアはロシアで提案されたものを小川先生が進化させてきたとの事であった。
金属の分野では、既に微粒子を圧粉して熱処理する技術で、多くの自動車や家電製品などの部品を製造する粉末冶金技術がすでにあるが、常温度の世界であることやセラミックスやポリマーまで接合できる技術である。この技術へ興味のある諸兄は是非小川和洋先生へ接触して頂きたい。小川先生の研究室は仙台の青葉山の工学部の中である。
(IRUNIVERSE Katagiri)