経済産業省は23日、中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会の第63回合同会議をハイブリッド形式で開催した。同省は不適正な解体業者への対応策として、自動車リサイクル法の解体業許可基準に「知識・技能要件」を設ける案などを提出。参加委員らと意見を交わした。
経産省によれば、国内での新車販売の減少、円安による中古車の輸出増を背景として、使用済自動車の引取台数が減少傾向にあり、自動車解体・破砕業界にとって使用済自動車の入手が大きな課題となっている。また、中古車に加えて、廃車ガラの輸出も増加しており、一部には法令違反が疑われるものもあるという。
また、自治体による登録・許可業者への指導のうち、解体業者への指導件数が突出して多い状況が続いているほか、不適正なヤードにおいて無許可で使用済自動車の解体を行う業者や、回収した部品の不適正な保管も問題となっている。
このような状況下で経産省は、不適正な解体業者への対策案として、廃棄物処理法と同様に、自動車リサイクル法の解体業許可基準に「知識・技能要件」を設けることを提案した。知識・技能の基準については、許可権限を有する地方自治体が判断することを前提としたうえで、申請者や自治体の負担軽減の観点から、「国が一定の基準を設けることが望ましい」と見解を示した。解体業者全体の知識・技能水準を一定に保つための施策としては、自動車リサイクル法の指定法人であるJARC(自動車リサイクル促進センター)において、JAERA(日本自動車リサイクル機構)が実施する自動車リサイクル士制度等を参考にした講習会を実施する案などが提出された。
JAERAの石井浩道は同案に対し、賛成を表明。「過去から要望していたことでありぜひ進めていただきたい」としたうえで、「技能要件が定められるまでは現在の自動車リサイクル士制度を暫定的な基準として活用してほしい」と求めた。
なお、昨今は外国籍の事業者による違反事例がメディアなどで取り上げられることも多いが、経産省は解体業者への指導件数について調査した結果、許可年数や国籍といった属性による差はみられないことから、「新規・既存、国内・海外を問わず、すべての解体業者を対象とした対応が必要」としている。
ただし、解体業者の国籍は、全体では日本が約7割を占める一方で、2022~24年度の新規許可業者ではパキスタンを主とした外国籍が約7割を占めており、外国籍解体業者は増加傾向にある。複数の自治体から、「日本語を十分に理解できない事業者が多く、意思疎通が困難」との意見も寄せられていることから外国人事業者に向けた特別対応も不可欠といえる。
このほか、同会合では、出品管理の徹底を含めたオークション運営方法の見直しや、非認定全部利用を行う事業者を対象に、装備変更や事前回収物品の事実を地方自治体が書面確認する仕組みを構築し、不適正な廃車ガラ輸出を防止する案などが経産省から示された。
(IRuniverse K.Kuribara)