南米グアテマラ共和国の鉱山当局が採掘ライセンスをすべて見直すようだ。Mining.comなどの外電が1月29日に伝えた。同国は金や銅、ニッケル、アンチモンなどが産出されるものの、ロシア関連の汚職などがはびこる地域で付近住民からの反対運動も根強く、腐敗一掃に取り組む。
(出所:グアテマラ大統領府ホームページ)
報道によると、グアテマラのエネルギー鉱山省(MEM)は1月27日、鉱業の探査、開発、輸出許可に関し、近年の決定を全て改訂すると発表した。見直しの実施のため、会計検査院の支援と、米国を含む利害関係者からの情報を要求したという。
グアテマラは南米北部に位置し、変成岩や火山岩地帯を国内に有するため、金銀のほか、ニッケルやコバルト、アンチモン、チタン含有砂鉄などを産出する。鉱業自体は1950年代から行われてきたが、内戦が長く続いたことで本格化したのは1990年代に入ってからだ。それも外資による出資で行われている事業が多い。
グアテマラの主要鉱山分布図
グアテマラの主な採掘事業
(出所:いずれもJOGMEC)
しかし、近年は米国がグアテマラで金採掘を手掛ける企業が「ロシアのソルウェイ・インベストメント・グループの子会社」であると主張して、ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁対象とした。また、カナダ企業が手掛ける金採掘事業も、環境保護団体がグイハラグーンやレンパ川などの水域汚染を警告した。特にレンパ川はエルサルバドルの都市住民の生活用水の水源になっているという。このほかにも、関係部門や企業間に汚職や賄賂が広がっている実態もあり、刷新に乗り出した模様だ。
グアテマラは1月にベルナルド・アレバロ大統領が就任したばかり。国家を挙げて腐敗の一掃に取り組む方針だ。
(IR Universe Kure)