中国リチウム大手のガンフォンリチウム(Ganfeng Lithium、贛峰鋰業)は6月21日、世界銀行(WB)傘下の投資紛争解決センター(International Centre for Settlement of Investment Disputes、ICSID)に、メキシコ政府を提訴した。メキシコのリチウム資源国有化に伴いガンフォンの保有していた利権が取り消されたことに対応した。
ICSIDの資料から明らかになった。資料によると、ガンフォンは英国籍の子会社2社と連名でメキシコ政府を提訴。現時点の状態は係争中となっている。
ICSIDの登録資料:Case Details | ICSID (worldbank.org)
ガンフォンは2021年にメキシコでの採掘会社を買収する形で同国でのリチウム採掘に参入した。しかしメキシコ政府は2023年4月にリチウム資源の国有化に向け鉱業法を改正。同年9月には、当時のロペスオブラドール大統領が「リチウムは国のものだ」と宣言し、採掘のための国有企業を立ち上げた。ガンフォンには、同年8月に取得していた利権取り消しが通知されていた。
関連記事:中国企業のリチウム鉱山プロジェクト9件の特許権はメキシコ政府によって取り消された | MIRU (iru-miru.com)
資源国での資源国有化の流れは強まっている。リチウムではチリも国営企業による開発を主軸とする国有化方針を打ち出し、国営コデルコが開発事業に加わっている。
関連記事:リチウム埋蔵量世界一位チリ 「国家リチウム戦略」による生産への影響はいかに!? | MIRU (iru-miru.com)
関連記事: チリのリチウム開発、政府主導の色強める 中国企業の関与は当初想定よりも縮小か | MIRU (iru-miru.com)
(IR Universe Kure)