8日から日鉄ステンレスは304系スクラップの買値をキロ当たり10円、日本冶金も同じく10円の下げを講じた。大同特殊鋼および愛知製鋼は15円下げを通達。高値からの下げ幅は同じで各社トータルで25円の下げ、となった。輸出の親和スチールは高値からトータルで30円の下げ。メーカー買値は200~205円となる。市中実勢は190円前後。と、ここまでは前回レポートの予想通りではあるが、業界ではもう一段の下げが盆休み明けに訪れるとささやかれている。やはり10円近い値下げ。
(304系スクラップ市中実勢相場(青色 ¥/kg)と為替円ドルTTS相場(赤色)の推移)
(304系スクラップの市中実勢はすでに190円に近い。為替は若干円安方向に戻って148円(8/9))
「この先、メーカー買値でも180~190円という水準になるだろう」とステンレススクラップディーラー。円高、株安によって一変したステンレススクラップ市況(鉄もだが)ではあるが、これまでは品枯れ(発生薄)とメーカー需要が旺盛、というファクターに支えられてきた。
しかし
「いや、すでに日鉄は4万トン以下に減産している。冶金も4~5月の頃と比べると25%ほど減産になっている」と関係筋。
さらに、足元ではオーダーが減っているため、さらならメーカーの減産も考えられるということで、だからなのか「妙に日鉄ステンレスの検収が厳しい」(商社筋)と聞く。需要量は事足りているゆえの強気、かもしれない。
「4月のときは同じ品物でもいまでははねられる。頭痛いよ。だけど、こういうことになると、またぞろ輸出に流れることになる。メーカーにもその点を考えてもらいたい」とはスクラップディーラー数社の意見。
中国系は180円前後の買い。彼らは解体系がメインではあるが、カッパーが、とかのクレームはほとんど言わない。売りやすい、ということになる。だから中国系の買いは廃れない。
400系(Cr系)は現時点では下げの動きはない。輸出向け75円前後、特殊鋼メーカーで83円前後。しかし一気に下がる可能性もあり。
いずれにしても、盆休み以降、季節の変移とともにステンレススクラップ市場にも急速に秋が訪れてきそうだ。
(IRUNIVERSE YT)