金相場に対する強気な見方が広がっている。ロンドン貴金属市場協会(LMBA)が10月13-15日に米国で開いた総会での関係者アンケートで、今後12カ月以内の金相場の平均予想価格は$2941/tozとなったと伝わった。米国の利下げ方針で流出した資金が金に向かうほか、地域紛争の長期化で安全資産としての金が買われやすい状態が続くとみられる。
■今後1年間にさらに1割上昇か
ロイター通信などの外電が10月16日に総会の内容を伝えた。
金の国際価格は10月15日に$2678/tozと過去最高値を付けた。予測に従えば、1年以内にさらに10%近く値上がりすることになる。NY金価格は2024年に入り既に29%上昇している。
過去20年間のNY金価格の推移($/toz)
野村証券は9月発表の8月のコモディティレポートで、「米インフレや雇用関連指標のさらなる鈍化が示され米利下げ期待が強まれば、金相場の押し上げ要因となる」と予測していた。野村は更に、中国による金の積み増しにも注目し、「中国人民銀行が5月に中止した金購入を年末に再開する」と見て、「2024年後半から2025年にかけての金への押し目買いを誘う」と指摘した。
日本では対米ドルでの円の下落も、輸入品としての金の価格押し上げ要因になる。10月15日の国内金価格(山元建値)はJPY1万2760/gで、過去最高値を更新した。
過去20年間の国内金価格の推移(山元建値)(JPY/g)
■銀も過去最高値が視野、プラチナやパラジウムも値上がりへ
LBMA総会では、他の貴金属価格についても上昇予想が報告された。銀の国際価格の今後12か月間の平均予想価格は$45/tozで、現在よりも45%高い水準だった。銀の過去最高値は2011年に付けた$49/tozであるため、記録更新も視野に入ってくることになる。
過去20年間のNY銀価格の推移($/toz)
また、アンケートでは、プラチナの平均予想価格が現在よりも14%高い$1148/toz、パラジウム価格が5%高い$1059/tozとなった。
(IR Universe Kure)