銅・モリブデン生産で世界トップクラスの米フリーポート・マクモランのインドネシアからの銅カソードの輸出計画に狂いが生じそうだ。同社傘下のフリーポート・インドネシアの銅精錬所で10月14日に火災が発生。既に鎮火したものの、工場は生産を停止している。
建設中の銅精錬所
(出所:インドネシア政府ホームページ)
フリーポート・インドネシアによると、火災は10月14日夕方に東ジャワ州グレシクのジャワ総合工業港湾団地(JIIPE)経済特区にある銅精錬所のガス洗浄工場で発生し、数時間後に鎮火した。火災による死傷者はなく、原因は調査中だ。
フリーポート・インドネシアのプレスリリース:670ef975b5aca-15-oktober-2024-media-update-kebakaran-di-smelter-pt-freeport-indonesia-berhasil-dipadamkan.pdf (ptfi.co.id)
工場は9月に生産を開始したばかりで、2024年末のフル稼働に向けて操業していた。投資額は37億ドル(約5530億円)、銅カソードの年産能力は約60万トンで、世界最大のシングルライン銅精錬所になるとされていた。銅カソードのほかに金と銀、PGM、副産物として鉛なども生産する。インドネシアは単純な資源輸出国から加工国への転換を目指しており、大規模製錬所の開設で「同国の加工業は新たな段階に入った」と期待を寄せていた。
インドネシア政府プレスリリース:Indonesia.go.id - Freeport Indonesia's New Smelter in Gresik, a New Chapter in the Country's Mining Industry
火災はもちろん、親会社の米フリーポート・マクモランにも打撃だ。ロイター通信が10月17日に消息筋の話として伝えたところでは、同社のインドネシアからの銅カソードの輸出は2025年4-6月期にまでずれ込む可能性があるという。ロイター電では、同社は2024年末に期限が切れるインドネシアでのライセンスを2025年1-3月期に延長したばかりだった。
(IR Universe Kure)