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住友金属鉱山:機能性材料事業説明会を開催(新規事業創出)

2026/01/14 19:23
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住友金属鉱山:機能性材料事業説明会を開催(新規事業創出)

 1月14日に開催した住友金属鉱山の「機能性材料事業説明会」の続き。説明に使用した資料はこちら。なお、会場参加者は、説明会後に近赤外線吸収材SOLAMENTの体験会が行われた。

 

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 ⇒「住友金属鉱山:機能性材料事業説明会を開催(概要・戦略)

 

<新規事業創出>

〇従来型の事業アプローチにおける課題(資料21ページ)

 最初に、新事業創出にかかる同社の事業アプローチについて説明する。これは同社に限らないが、現在の材料事業というのは、市場の成熟はもちろんのことだが、ビジネスの環境変化によって、差別化自体が非常に難しい状況にはなっている。

 同社のこれまでのアプローチ、事業アプローチでは、素材産業としては、いわば典型的とも言えるシーズ起点のプロダクトアウト、これが主流になっていた。

 ただ、画期的な技術だとか製品投入が、すぐには難しいという状況下においては、市場開拓や用途開発を図るためには、ニーズ起点でインサイトを探って新たな価値を顧客に提供するというアプローチ、これが必要になる。

 これはすなわち、これまでのプロダクトアウトからマーケットイン思考への転換を意味する。具体的には、製品や技術を強制的に売り込む、いわばそのアウトバウンドマーケティング、言葉悪いが押し売り的な手法から、デジタルツールを活用して情報を積極的に発信することで興味を喚起する、いわばインバウンドマーケティング、引き込みへの営業への軸足を移している状況。

 

〇X-MININGとは(同23ページ)

 X-MININGとは社外との競争を通じて、新しい価値を生み出す取り組みとして、2021年に開設したデジタルマーケティングシステム。

 X-MININGというのは、同社の素材力、技術力、これをグローバルに情報を発信することで、これに共感した社外のパートナーの方々とアイディアとかを組み合わせて新しい価値を創出する仕組みでもある。

 

〇X-MININGサイトでの情報発信について(同24ページ)

 これは同社のインバウンドマーケティング活動の概念を模式化したもの、一般にはマーケティングファネルと呼ばれるもの。

 デバンドジェネレーション、いわゆる事業創出活動。これにおける一連のプロセスというのは、まずはアイディアやリードを発掘して、これをパートナーと育成しながら事業家に結実させていくというものになる。この活動で特に大事になるのが、このパネルの左側、初動の部分、ここにおけるアイディアだとかリードの獲得、あと共創パートナーを見出だすということにあって、X-MININGは特にこの部分に特化したシステムであると言える。

 X-MININGサイトは単純な製品サイトではない。共創パートと一緒に新たな価値を生み出すためのソリューション、これを想起させる情報サイトとしている。

 したがて、サイト内のコンテンツというのは多岐の分野にわたって非常に幅広く作っており、様々な方に共感してもらえるような構成となっている。

 

〇X-MININGと展示会やSNS、メディアでの情報発信(同25ページ)

 X-MININGのアクセス数は10万以上と、実に標準的なBtoBの企業サイトの3倍以上にまで拡大、成長している。さらに、X-MININGではオンラインとオフラインを融合させた機能というのも持たせている。一般的にはOMOと呼ばれるものだが、国内外の大規模展示会だとか、オールドメディアとシステム連携をさせることによって共創パートナーと様々な接点を作っている。

 例えば、展示会の出店においては、リスティング広告だとかあるいは専用のランディングページを通じた集客はもちろん、展示内容をコンテンツ化してサイト上で発信したり、あるいは獲得した情報は全てデジタル集積で管理したり、また、もはや企業にとっては必須の要件となりつつあるSNSについてもリンクトインだとか、あとInstagramだとか、こういったものとX-MININGを連携して活用している。

 

〇成長が期待される素材・技術(同26ページ)

 クロスマイニングを軸とした新事業創出活動を推進することで、事業化が期待できる案件というのが少しずつ増えてきている。

 本日は、時間の関係上、全てを説明することは叶いので、このうち2つの事業について簡単に説明する。

 

〇SOLAMENT ブランディングによる新規用途拡大(同27-29ページ)

 SOLAMENTは、太陽光のうちの熱エネルギーに変換されやすい近赤外線光という光だけを選択的に吸収する非常にユニークな光学特性を持った材料。

 同社が世界で唯一生産していて、各国で新化学物質登録だとか創業登録をしている材料であり技術になる。

 SOLAMENTはこれまで主に自動車とか、建材の窓材の遮熱用途としてビジネスを展開してきているが、今後さらに事業成長を目指すということで、現在、アパレルだとか農業分野への市場参入というのを進めている。

 とはいえ、同社にとっては全くの異業界とへの進出なので、業界パートナーとの協業はもちろん、新たな市場戦略というのが必要となる。

 SOLAMENTのアパレルや農業といった新規市場開拓にあたっては、ブランディング戦略というのを進めている。

 ブランディングというとマス広告と誤解されることが非常に多いが、本来は技術や科学に大きく依存しない差別化戦略であり、最大の目的は市場そのものを創出して売れ続ける仕組みを作ることにある。

 同社のようなサプライチェーン上、最も川上あるような素材産業でのケースタディというのはあまり多くはないが、成功事例としてはGORE-TEXだとかヒートテックというものが挙げられる。

 ブランディング戦略というのは、誤解を恐れずにいえば、たとえ品質が良くても、必ずしも顧客に選んでもらえるわけではないというようなことが前提となっている。重要なのは事実ではなくて、識別された価値ということになる。

 わかりやすく言うと、たとえ圧倒的に優れた性能の製品を作ったとしても、顧客がその存在を知らなかったり、性能を認識してもらえない限りは選ばれないということ。

 もう1つ、一般的な素材産業によるマーケティングというのは、誤解を恐れずに言えば、自社の思い込みで用途を決めて特定の顧客に訴求するという、いわばオーソドックスなBtoBスタイルを踏襲することがほとんど。

 ただ、こういった、新規事業開拓のようなマーケティンでは、新しい市場なので、十分に市場が形成されてない状況では顧客に作用するハードルは極めて高くなる。

 ここで、少し左の図(29ページ)に示している通り、たとえ担当者レベルで理解してもらっても、意思決定者レベルでは共感されないので、確実に離職されてしまうケースが実際としてはほとんどになる。

 新規市場開拓においては、このようなことから、まずは社会のインサイト、潜在需要、これをまず喚起すること、そして、ニーズを顕在化させることによって、意思決定者に対して、戦略的に、外圧をかけていくということが重要になる。

 インサイトを喚起するには、何より、最終消費者のベネフィットを訴求することが重要になり、この活動がまさにブランディングの入り口となる。つまり、川上産業である同社であったとしてもBtoCまでやるということ。

 SOLAMENTのブランディングが進んだことによって、足元ではアパレルだとか農業を中心に、問い合わせが非常に殺到しているというような状況。

 これについてはX-MININGシステムを非常に大きな効力を発揮しており、新領域での採用加速だとか、あるいは用途開発のスピードもレバレッジさせている。

 なお、当然ながら、同社は、アパレル製品はおろか、繊維だとか生地の生産は行っていないので、業界特有のコミュニケーションだとか商習慣を理解しながら、事業推進するのは非常に困難なので、業界を牽引すべく、同社にないケイパビリティを有しているパートナーと協業しながらこの事業拡大を推進しており、例えばアパレルでは、創業150年の老舗の繊維商社、NAGOYAと連携している。

 同社が素材ブランドの管理や技術支援をして、TAKISWAが生地だとかあるいは製品化、あるいは営業を分業することで、世界各国の著名アパレルブランドへの展開をまさに進めている状況。

 

〇耐酸化ナノ銅粉(同32ページ)

 新規の銅粉については、主に電極材料用途としてかかる素材力、技術力を先ほどのX-MININGを使って発信して、業界課題に対するソリューションに共感いただいたパートナー企業とビジネスモデルを構築しながら進めているす。

 本日紹介している耐酸化銅粉というのは、同社が長年にわたって培ってきた精錬や粉体、あるいは表面技術によって独自開発した特殊な有機皮膜を持った合成銅粉になる。

 エレクトロニクス分野において一般的な銅粉というのは、これまで耐酸化性、あとは低温焼結性、あるいは分散性といったようなウィークポイントを抱えていたが、同社の銅粉はこれらの点で大幅な特性向上を実現させており、銀や金をはじめとする昨今高騰し続けているこういった貴金属に代わる電極材料として非常に注目をされている。

 この図(34ページ)は、銀に対する銅の平均建値を示している。昨年末時点での銀価格は、およそキロ当たり33万円、銅の200倍以上の価格まで高騰、暴騰している。

 とはいえ、例えばEVモーター向けのパワーモジュールとかでは主に銀接合材が採用されているが、代替材として、銅が非常に注目されている。先ほど説目した通り、耐酸化性だとか低温焼結性といった銅特有のネガティブな要素によって、大体は思うように進まないでいたということが事実。

 同社の新規銅粉はこの点を克服できる材料として非常に注目されており、足元、エレクトリック業界の世界トップ企業を中心に多くの引き合いがきている状況。

 当時の銅粉事業としては、まずは接合剤、これを起点に、市場参入を図る計画で、26年度の試験生産で、2027年度の本格予算を目標に体制整備を現在着実に進めている状況。

 また、エレクトロニクス分野における銅粉のニーズというのは、今後、太陽電池だとか、ウェアラブルデバイス、あるいはプリンテッドエレクトロニクス、こういったものを含めて、今後大きく用途拡大していくことが非常に期待される。

 今後は、同社が有するコア技術で、製錬粉体表面、あと実装技術、こういったことをもとに、まさらなる銅粉の性能向上と周辺技術の錬磨を図りながら、事業拡大を着実に目指していく。

 

 

(IRuniverse 井上 康)

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