スイス資源大手のグレンコアが1月30日に自社ホームページ上で発表した2024年の生産実績は、鉛以外の金属が軒並み減産となった。金属価格が低迷する中、生産を減らして業績への悪影響を低減させざるを得なかった。
■金属は軒並み不調、製鉄用石炭は好調
プレスリリース: Full Year 2024 Production Report
グレンコアが手掛ける主要な金属のうち、コバルトの生産量は3万8200トンと前年比8%減った。ニッケルは8万2300トンで16%減。銅も95万1600トンと6%の減少だった。反面、鉛は18万5900トンで2%増加した。カナダで主に生産する製鉄用石炭も前年の2.7倍に増えた。
■中国企業に押され…コバルトやニッケル生産できず
特にコバルトは2022年まで生産量で世界首位だっただけに衰退ぶりが目立つ。競合する中国レアメタル大手の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)は2024年に11万トンを生産しており、約3倍の差が付いた。CMOCが中国政府などによる供給下支えを背景に増産を続けるためコバルト価格が下落し、グレンコアをはじめとする海外他社は減産を迫られた。
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ニッケルも価格低迷が続く。インドネシアで中国企業が積極的なニッケル加工を行っており、ニッケル製品の供給が急増した。コバルトにも共通する課題である電気自動車(EV)販売の失速による車載向け材料としての金属需要の縮小と相まって、構造的な供給過剰となっている。
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(IR Universe Kure)