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生産動態統計:電極使用原単位(25年9月)

2025/02/17 14:40
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生産動態統計:電極使用原単位(25年9月)

 11月17日13時半、経済産業省は25年9月分の生産動態統計を発表したのを受けて、国内電炉メーカーの電極使用原単位についてアップデートする。電極使用原単位とは、電炉鋼1トン生産するのに消費する人造黒鉛電極の消費量のこと。ただ、残念なことに経済産業省(生産動態統計)や外務省(貿易統計)など公の統計から直接算出することができない。理由は以下のとおり。

 

①人造黒鉛電極は電炉メーカーだけでなく、高炉メーカーも転炉で使用するが、その数値が取れない。

②生産動態統計は、人造黒鉛電極の販売数量が工場からの出荷、つまり国内向けと輸出向けの合算になっている。

③貿易統計 は、生産動態統計とは異なる分類で人造黒鉛電極の輸出及び輸入を集計している。

④電炉には直流炉と交流炉があるが、そこで使用される電極を分類した統計が無い。

 

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 ⇒「黒鉛電極(25年9月):生産・国内販売数量、在庫率は?

 

 これまでのように原単位算出に当たり、①については、人造黒鉛電極が全て電炉用として使われたのとして使用(転炉用は径が細いものが多いため、中国品を使用することがあるため)。②と③については、分類法が全く同じであるとして生産動態統計の販売数量から貿易統計の輸出量を引いた差が国内向け電極販売数量であるとして使用した。また、電炉メーカーが有する電極在庫量が一定で変わらないことを前提(国内販売数量≒電炉メーカーの電極消費量)とした。④については、今回無視したが、一般的には直流炉の方が交流炉より使用原単位の値が小さい。

 

 9月の電炉鋼の粗鋼生産量は図表1の通り。足元の伸び率は弱含み傾向が続いている。

 

 

図表1、月別電炉鋼生産量と伸び率推移(万トン、%)

出所:生産動態統計よりIRU作成

 

 一般的に電炉メーカーが適正稼働(稼働率:8-9割程度)の範囲内は電炉鋼の生産数量に概ね連動し電極原単位も変動する傾向にあるが、極端に電炉メーカーの稼働率80%を下回った場合か、超フル稼働(95%以上)の電極原単位は、その傾向に当てはまらない。参考までに過去10年間で電炉メーカーの粗鋼生産量が最も多かった18年6月の生産数量を基準に稼働率を算出。それに電極原単位を重ねたのが図表2になる。

 

 9月の電極原単位は3.65キログラム/トンと先月に比べ0.23キログラム/トン減少(3ヵ月ぶり)した。なお、電炉の稼働率が71.0%と先月より5.0ポイント改善(3ヵ月ぶり)したため。

 

図表2、電炉メーカーの稼働率と電極原単位の推移(%、キログラム/トン)

出所:生産動態統計・貿易統計よりIRU作成

 

<参考>

 25年の電極原単位は、1.99キログラム/トンと、前年より0.06キログラム/トン増加(3年ぶり)。

 

図表3、電炉鋼生産量と電極原単位の推移(万トン、キログラム/トン)

出所:生産動態統計・貿易統計よりIRU作成

 

図表4、月別の電炉鋼生産量と原単位の推移(万トン、キログラム/トン)

出所:生産動態統計・貿易統計よりIRU作成

 

 

(IRuniverse 井上 康)

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