オーストラリアのアルバジーニー政権は4月24日、ホームページ上で、「重要鉱物の戦略備蓄を設立する」と発表した。既存の重要鉱物ファシリティの10億ドルを含め、戦略備蓄の準備金として12億豪ドル(約1100億円)の初期投資を行う。世界貿易の先行きに不確実性が増す中、資源国として同国が保有する重要鉱物の戦略的価値を最大化する。
■戦略備蓄として鉱物買い上げ→満期ならパートナー国に売却
(出所:アルバジーニー首相のホームページ)
プレスリリース: Albanese Government to establish critical minerals strategic reserve
発表によると、豪政府は同国内で採掘される重要鉱物について、
- 民間企業からの商用製品の購入、または担保を用いた購入権の設置
- 必要時の担保品の取得
の2つの手段を用いて取得し、重要鉱物の戦略備蓄とする。備蓄品の保有期間が満期を迎えた場合、製品は国内企業や主要パートナー国の機関・企業などに協議の上で売却する。生み出された利益は国内外からの重要鉱物セクターへの投資支援にも使われる。
■資源国の強みを最大限に
トランプ米政権の関税に端を発した貿易の混乱の中、豪州をはじめ各国の間に、独自の強みを強化する動きが広がっている。特に豪州の場合は中国が報復的にマイナーメタルやレアアースなどの輸出制限措置を採ったことで、国内に鉱床を所有する強みを生かし、中国とは別の資源サプライチェーン(供給網)を確立しようという意識が強まっている。
同国のアルバジーニー首相は声明の中で、「戦略備蓄の設立は、我々が強い立場から貿易と市場の混乱に対処できることを意味する」とし、「オーストラリアは、世界的な需要の中で国際的にも重要な量の資源を所有している」と述べて、資源国の強みを強調した。
(IR Universe Kure)