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大栄環境(9336) 25/3期説明会メモ 投資先行でややポジティブからニュートラルに変更

2025/05/29 10:09

25/3期9.8%増収9.3%営利増で3期連続最高収益更新、26/3期以降も緩やかに収益拡大

株価3075円(5/28) 時価総額3006億円    発行済株99892千株      

PER(26/3期DO予:19.5X)PBR(3.15X) 配当26/3DO予50円   配当利回り:1.6%

 

要約

・25/3期インフラ案件受注継続で9.8%増収9.3%営利増と3期連続最高収益更新

・26/3期もインフラ案件受注継続、大幅償却負担増も4.6%増収1.2%営利増予想は増額期待

・中計「D-Plan2028」で28/3期に売上高1000億円、営利250億円、EBITDA360億円目標

 

25/3期インフラ案件受注継続で9.8%増収9.3%営利増と3期連続最高収益更新

 

 1972年創業の一般・産業廃棄物の収集運搬、処理、リサイクル大手で最終処分場の保有で強味。積極的なM&A等を実施、関西から全国へ事業展開を加速させている。

 

 25/3期WEB説明会が5/20に開催された。25/3期は売上高801.78億円(期初計画比16.78億円増額、2/10増額修正予想比4.78億円増額、9.8%増)、営業利益215.48億円(同10.48億円増額、同5.48億円増額、9.3%増)、経常利益214.84億円(同7.84億円増額、同3.84億円増額、4.3%増)と順調に収益拡大が継続、連続最高収益更新となった。また四半期で見ると25/3Q4が売上高212.65億円(同期比15.8%増、Q3比2.5%増)、営利58.72億円(同期比28.0%増、Q3比6.5%増)となっており、四半期売上では2四半期連続200億円超えで最高売上更新、営業利益は24/3Q3の565.76億円を抜き四半期最高営業利益更新となっている。

 

 事業別に収益の大半を占める環境関連事業が売上高774.87億円(同15.87億円増額、同3.87億円増額、9.1%増)、営利218.93億円(同10.93億円増額、同5.93億円増額、8.9%増)となった。主力事業の廃棄物資源循環が売上高661.54億円(同4.46億円未達、同0.54億円増額、4.8%増)と、関西、中部地区のインフラ開発案件に伴う廃棄物処理需要を獲得、但し処理量は低単価廃棄物の受入減抑制、高単価廃棄物受入は堅調で全体では2196千トン(0.5%減)となった。一方、土壌汚染関連は売上高48.60億円(同2.60億円増額、同1.40億円未達、3.4%増)となった。最終処分場での受入汚染土壌の受注単価見直しに伴い、受入量の抑制を継続、汚染土壌受入量は335千トン(17.4%減)に。但し、高単価の難処理土壌受入シフトで収益性を高め増収に。その他環境関連事業は売上高64.72億円(同18.72円増額、同5.72億円増額、2.0倍)と連結子会社化した栄和リサイクル、海成の解体工事受注が寄与し大幅増に。利益面では増収効果、内製化によるコスト削減などが寄与、28.3%と前期と同等の利益率を確保した。

 

 その他有価資源リサイクル事業では売上高26.91億円(同5.91億円増額、同0.91億円増額、34.8%増)、営業損失2.25億円(同1.25億円未達、同1.25億円未達、0.13億円赤字縮小)となった。アルミ市況高騰でアルミペレット販売価格が上昇、販売数量も増加し売上上振れに。なおスポーツ地域振興事業は売上高2.20億円計上となっているが、諸費用先行で赤字継続に。

 

 全体での営業利益の増減要因では増収効果で71.43億円の寄与、これに対し、人件費増13.26億円(M&Aでの増加も含む)、その他にM&Aで外注費などの増加アルミペレット仕入れ単価アップなどのコスト増40.69億円などが減益要因に。

 

 

26/3期もインフラ案件受注継続、大幅償却負担増も4.6%増収1.2%営利増予想は増額期待

 

 26/3期会社予想は売上高839億円(4.6%増)、営利218億円(1.2%増)経常利益216億円(0.5%増)予想と緩やかな収益拡大を見込む。セグメント別では環境関連事業が812億円(4.8%増)、営利218億円(0%増)予想。インフラ案件の継続受注等で廃棄物受入増加が堅調に推移すると見込み(0.6%増の221万t)、廃棄物資源循環で681億円(2.9%増)予想。汚染土壌は浄化施設の新たな稼働で受入増を目指し、受入量59万t(76.1%増)を目指し、土壌浄化売上高66億円(35.8%増)を見込む。その他環境事業は64億円(0%増)とM&A効果がなくなり横這い予想。

 

 

 営利の増減要因では増収効果で37億円プラス、一方で償却費負担増など31億円、人件費で10億円などの減益要因がるが、修繕費などの内製化等でコスト削減効果等5億円を見込み、わずかながら営業増益を維持するとしている。但しEBITDAでは312億円(12%増)と2ケタ増確保予想に。

 

 全体として今期は下期に設備能力増やM&A効果の寄与などを見込み上期売上高394億円に対し445億円(12.9%増)としているが、4月にグリーンテック名張、九州では肥前環境を買収、上期から前期買収した企業群の寄与もあり、多少売上の上乗せがあるとみられる。利益についても規模の拡大効果などもあり前期同様に多少の上振れが期待される。

 

 

中計「D-Plan2028」で28/3期に売上高1000億円、営利250億円、EBITDA360億円目標

 

 同社は中期経営計画として「D-Plan2028」を発表、31/3期までの6カ年計画のうち前半3カ年という位置づけとし、オーガニック成長とM&Aによる着実に成長しつつ成長投資を継続するとした。具体的な数値目標として28/3期に売上高1000億円(25/3期比24.8%増)、営業利益250億円(25/3期比16.0%増)、積極的な設備投資を含めたEBITDAを360億円(25/3期比29.5%増)とした。

 


 この中で。オーガニックで900億円、新規とM&Aのインオーガニックで100億円の売上を目指す。また31/3期については売上高1400億円、EBITDA500億円を目指すとした。 オーガニックでは廃棄物の受入量を233万t(57万t増)、汚染土壌を76万t(43万t増)、合計で25/3期の253万tから310万tに拡大、その手当はできているとのこと。また新規とM&Aについては460億円+αの成長投資を計画、維持更新投資の140億円を大きく超える資金投入を行うとしている。また設備増強については31/3期までの投資計画を開示している。

 

 

 同社オーガニックの拡大について、は資源循環システムの高度化、自治体との関係強化を掲げている。高度化については動脈市場への供給量拡大、廃プラスチックの動脈市場への姜橋梁拡大、最終処分場の価値最大化という3つの項目が挙げられている。

 

 

 自治体との関係進化については関西・中部から全国に取引エリアの拡大を目指す。また人口減少が進む自治体では一般廃棄物処理コスト抑制が最優先課題となっており、公民連携を推進する計画。

 

 

 M&Aについてはコア事業とのシナジーが見込める案件を全国で積極的に実行するが、特に最大市場である関東地区での案件に注力する計画となっている。

 

(各図、表は説明会資料、「D-Plan2028」から添付)

       

 いずれにしても同社は100年企業に向け、次世代に求められる新たな価値を社会に届ける環境創造企業への進化実行を標榜しており、28/3期中計のみならず、31/3期に売上高1400億円達成も前倒しされる期待がある。

 

 株価は順調な収益拡大を続けるも、変化率に乏しく小動きに終始している。今回増額着地も26/3期EBITDAは2ケタ増も営利横ばい予想から、伸び悩んでいる。26/3期会社予想EPS146.19円に対しPER21.3倍は、ダイセキ(9793)17.7倍より若干割高、ARE(5857)8.8倍、TRE(9247)5.6倍より割高となっている。現状、26/3期以降も安定した収益の伸びが続くとみられるものの、「D-Plan2028」では31/3期に向けての飛躍のための投資時期でEPSの成長が抑えられるとみられ、ややポジティブからニュートラルに変更したい。

 

*ダイセキ(9793)、TRE(9247)、ARE(5857)との比較

 

 

(H.Mirai)

 

 

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