中国が、4月から実施している一部レアアース(希土類)の輸出規制について、欧州向けを緩和する可能性が浮上している。両地の半導体企業が会合を開き、半導体生産に欠かせないレアアースの供給について話したと伝わった。一方、米国は半導体設計の分野で対中規制を強化する構えで、米欧の分断も深まる可能性が出てきた。
■座談会でレアアースの輸出規制について講演
(出所:中国商務省ホームページ)
中国商務省は5月27日、北京市で、欧州と中国の半導体企業約40社による座談会を開いた。中国国営のチャイナ・デイリーが消息筋の話として伝えたところでは、この現場で、中国側からレアアースの輸出規制について、申請方法や審査の手続きについて講演があったという。中国の新浪網がこの問題に詳しい別の人物の話として伝えたところでは、この動きは、中国が欧州向けの半導体企業の産業チェーンにおけるレアアースの輸出規制を緩和する可能性があることを意味する。
プレスリリース:中欧半导体上下游企业座谈会在京召开
■米国は中国のAI開発を阻止へ
一方、英紙フィナンシャル・タイムズなどの複数の外電は5月28日、米商務省が、半導体設計用ソフトウエアを手がける米企業に対し、中国企業向けのサービスを停止するよう指示したと報じた。例えばケイデンス・デザイン・システムズ、シーメンスEDAなど、EDA(電子設計自動化)と呼ばれる設計ツールを開発する企業に対し、中国に技術を提供しないよう言い渡したという。中国による人工知能(AI)開発を阻止する狙いとみられる。
外電によれば、同時にジェットエンジンや一部の化学物質の対中販売も停止が言い渡された模様だ。
(IR Universe Kure)