新金属協会は3日、定時総会・理事会を開き、同日付で新会長に轟正彦氏(信越半導体:取締役専務執行役員半導体部関係担当)が就任する人事を発表した。轟氏は昨年の業界動向を振り返り、「電子産業は、在庫調整の底打ち感が見えた。生成AIやデーターセンターといった明るい話題も聞こえた。これをテコにまた今後、発展を遂げることができたらと思う。また、ウラン燃料については、原子力発電所の再稼働が始まり、女川・島根原発の運転再開があった」と述べた。また同日付で、副会長には、小林大作氏(三井金属:事業部長)、牧野健士氏(GNF:執行役員(技術管理担当)保安管理部 理事)が就任、新体制で業界の課題解決などに取り組む。
挨拶に立つ轟氏
轟氏は、レアメタル・レアアースの動向にも触れ「特定国の金属素材の輸入・輸出管理強化が強まっている。昨年8月にはアンチモン、25年2月にはインジウムと5種類のレアメタル、そして(同年)4月に7種類のレアアースの輸出管理が強化された。これにより車の製造、そのほかの分野に対して非常な懸念がある」との認識を示した。
懇親会では、来賓として経済産業省の浦田秀行製造産業局大臣官房審議官が挨拶した。
浦田氏
浦田氏は経済安全保障の観点から金属動向に触れ「(25年以前の某国の輸出管理を振り返ると)ガリウム、ゲルマニウム、グラファイト、アンチモン、タングステンときて、トランプ政権発足後は、レアアースということで輸出管理が強化されている」とし、「新金属協会から知見を借り、対策をしていきたい。一層、省資源・リサイクル・供給源の多角化・備蓄を進めていくしかない」との認識を示した。
(IRuniverse G・Mochizuki)