5月工作機械受注1287.2億円(3.4%増)と8カ月連続同月比増加
6/25の15時に日本工作機械工業会の2025年5月工作機械受注確報が開示された。5月受注は1287.18億円(同月比3.4%増、前月比1.1%減)と3ヶ月連続1200億円超え、8カ月連続同月比増加となった。但し前月比では2ヶ月連続減となり、力強さにかける展開が続いている。
外需6.7%増957.02億円と8カ月連続同月比増ながら前月比2カ月連続減1000億円割れ
外需は957.02億円(同月比6.7%増、前月比0.1%減)と8カ月連続同月比増も、前月比は2ヶ月連続減少し、2ヶ月連続1000億円割れとなった。主要4業種中で航空・造船・輸送用機械を除き同月比、前月比増に。一般機械は310.9億円(同月比7.5%増、前月比6.4%減)と2ヶ月ぶり300億円超えに。自動車は255.3億円(同月比25.9%増、前月比10.5%増)と3ヶ月連続で200億円超え、250億円超えは2022年12月以来。電気・精密は138.3億円(同月比2.3%増、前月比16.3%増)と130億円台を回復。航空・造船・輸送機械は60.3億円(同月比23.6%減、前月比26.0%減)で、4ヶ月ぶりに60億円台に落ち込む。
主要3極別ではアジアが451.7億円(同月比6.0%増、前月比6.4%減)と、14カ月連続同月比増、14カ月連続400億円超と堅調持続。東アジアは349.7億円(同月比5.3%増)で、このうち中国が309.5億円(同月比10.6%増、前月比8.9%減)で同月比14ヶ月連続増加、3カ月連続300億円超えに。中国は自動車、電機・精密のみ同月比増。一般機械104.0億円(5.6%増)、自動車113.7億円(30.2%増)とBYDなどのEV投資継続が寄与している。電気・精密は64.7億円(0.5%減)と、堅調持続。全体として中国の工作機械NC化向上促進への補助金政策が継続、買い替え後の中古工作機械は海外に売却している模様。その他アジアは101.98億円(8.4%増)で、インドが45.27億円(同月比7.8%増)、タイ26.62億円(21.8%増)などが増加。
北米は327.9億円(同期比18.7%増、前月比2.4%増)。このうちアメリカは289.9億円(同月比22.8%増、前月比6.5%増)と4カ月連続同月比、前月比ともに増加した。米国主要4業種では一般機械100.3億円(80.9%増)と建機向け大型受注が継続、自動車が68.3億円(2.4倍)とトランプ影響なのかICE(内燃機関)向け受注の押上げなどが寄与、70億円超えは36ヶ月ぶり。一方、電気・精密は12.8億円(56.1%減)に止まる。なおメキシコが25.41億円(7.4%増)となっており、トランプ関税問題が影響しても人件費の安いメキシコでは米国に近いこともあり需要は堅調。一方でカナダは12.6億円(24.4%減)と人件費の高さでトランプ関税の影響が出ている模様でメキシコとは対照的な動きが続いている。
欧州は158.3億円(同月比8.3%減)と17ヶ月連続同月比減に。ドイツ36.3億円(同月比3.1%増)と18ヶ月ぶりに増加、イタリアは32.6億円(同月比35.3%増)と持ち直し22ヶ月ぶりに30億円超となった。その他はフランス21.38億円(11.8%増)、一方、イギリス10.58億円(42.9%減)、トルコ9.01億円(52.3%減)など、全体としてさえないが、主力相手先のドイツ、イタリアが増加となったことは評価できる。主要業種4業種では電機・精密を除き同月比減。一般機械が52.8億円(14.8%減)、自動車は18.6億円(23.7%減)で6カ月連続の20億円割れでEV不況の影響が大きいとみられ、航空・造船・輸送用機械も11.8億円(28.6%減)と2カ月連続20億円割れ。
外需全体ではアジアが牽引、EU不振継続で、米国はトランプ関税影響が建機や内燃機関自動車向けなどでプラス寄与に。全体では1000億円割れも高水準を維持、中国は減少傾向が見られず税制優遇政策が支える形が継続しよう。なおトランプ政権の関税問題が今のところ特定産業向けにプラスとなっており、今後、10%程度の関税上乗せであれば価格転嫁でしのげる可能性があるとして、大きな落ち込みはないとの雰囲気も出てきたが、依然として先行き不透明要素は多い。
内需330.2億円(同月比5.2%減、前月比4.0%減)と2カ月連続400億円割れ
内需は330.2億円(同月比5.2%減、前月比4.0%減)と2カ月連続400億円割れ。主要4業種は同月比で電機・精密、航空・造船・輸送用機械が増加。一般機械は143.3億円(同月比0.2%減、前月比4.6%減)と、建機向けなどが堅調も総じて低調。自動車は47.8億円(同月比38.0%減、前月比9.2/%減)と3月に予算消化、期末効果などに対し、トランプ関税影響などもあり同月比大幅反動減が2ヶ月連続している。
全体として内外ともにリスク要因、不透明感が強く、特に自動車はEVの不透明、自動車関税などの動きなどで内需の投資先送り懸念があり、受注の本格回復は後ずれ懸念高まる。
5月販売1.5%減1114億円、受注残10.0%減7131億円は24ヶ月連続同月比減
5月販売は1113.52億円(同月比1.5%減)と6カ月ぶりに同月比減、1月1113.1.14億円以来の低水準。受注残高は7131億円(同期比10.0%減)と2月以来の7000億円乗せも24ヶ月同月比減少続く。
2025年第3四半期受注見通し(6月上旬工業会アンケート調査)はQ3回復に期待
工作機械工業会が6 月上旬に実施した2025 年7~69月受注動向見通しアンケート調査では、25 年第3 四半期は受注見通しとして減少幅の改善が見られるとしたが、依然として力強さに欠け、第3 四半期からの回復に期待するとしている。内需の弱さが継続、外需も欧州の低迷の長期化、トランプ政権の米国外への関税強化、EV 停滞なども影響が出ているものとみられ様子見が続く状況。
5月工作機械4社受注15.6%増、業界伸び率上回る伸び続く
日刊工業新聞が集計している工作機械主要4社の5月受注が6/11に発表された。4社合計で348.08億円(15.6%増)と伸張、工業会の伸び率を上回る状況が続いている。
オークマは153.57億円(27.6%増)となり、このうち輸出が98.82億円(29.9%増)、国内54.75億円(23.6%増)。輸出が単月として過去最高額更新となった2月以来の100億円割れも、8ヶ月連続増で高水準を維持している。中国で一般機械、風力発電向けで大型機を受注、米国でも航空宇宙やエネルギー関連が堅調に推移し受注が拡大している。
牧野フライスも90.99億円(20.1%増)、輸出が71.44億円(32.3%増)となり10カ月連続増加、中国でNEV関連向けや電子関連、米国では航空機向けなどが増加している。
芝浦機械は17.85億円(63.6%増)で3ヶ月ぶりに増加、国内が9.93億円(28.4%減)も輸出が7.92億円(63.6%増)と中国産業向けで超精密加工機、米国で航空機向けがぞうかした。
ツガミは85.67億円(0.8%減)で、輸出が81.84億円(0.8%増)と高水準を維持している。
全体として工業会の伸びを上回っているが、複合機、高機能機、大型機、米国、中国に強みを持つなどで差別化できていることが要因。一方、全体では専用機や中小企業向けなどをメインとする工作機械会社では受注低迷するなど業種内格差が広がっている。
(H.Mirai)