中国税関総署が7月14日に発表した中国の2025年6月の貿易統計で、6月単月でのレアアース輸出量は7742トンと5月単月の5864トンから32%増えた。中国が4月にレアアースの一部を輸出規制の対象としたが、その後は米国との関税交渉が進展し、両国関係は一時的に軟化している。これに伴い、中国からのレアアース輸出も回復している。
1-6月のレアアース輸出量も前年同期比11.9%増と、増加率は1-5月の2.3%増から大幅に拡大した。ただ、レアアース輸出額は人民元の対米ドルでの軟調を受け、前年同期比25.3%減と、減少率は1-5月の20.9%減から悪化した。
■米中交渉がやや進展、個別の企業に輸出認可も
米中のレアアース交渉には軟化の兆しが伝わる。両国はトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が6月5日に電話会談を行ったことを受け、6月9日に閣僚級会議を行った。両国は6月末になりこの会議で、「両国間で一定の枠組みについて合意があった」と認めた。これに先立ち、個別の企業に当局が輸出認可を与えたとの報道もあり、実際の輸出が行われた可能性がある。
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一方、1-6月の中国のレアアース輸入額は前年同期比0.4%減と、減少率は1-5月の6.8%減から大幅に改善した。輸入量は20.6%減で、減少率は1-5月の21.7%減から縮小した。
中国はレアアースの中間加工国として、ミャンマーなどからレアアース鉱石を輸入する。供給元確保を巡り、ミャンマーへの政治的関与を強めているとの見方も浮上している。
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■対米輸出は過去最大の減少も第三国向け伸びる
6月の貿易統計全体では、輸出は前年同月比5.8%増、輸入は1.1%増で1147億ドルの貿易黒字だった。輸出の伸びは5月の4.8%増から一段と改善した。輸入も3.4%減だった5月から増加に転じた。国別では対米輸出が16.1%減と過去最大の減少率に達したものの、東南アジア向けなどが伸びて相殺した。米国と多くの国の関税一時停止期限が7月9日に設定されていたため、中国企業が第三国経由での輸出を急いだ可能性がある。米中間の関税交渉期限は8月12日。
1-6月では輸出が前年同期比5.9%増、輸入が3.9%減で5859億ドルの貿易黒字だった。
(IR Universe Kure)