台湾南部高雄市のリチウム電池工場で7月14日早朝に火災が発生した。中国時報(電子版)などの現地メディアが同日伝えた。従業員12人と消防士3人の計15人が病院に運ばれたが、死者はない。この工場の製品は米電気自動車(EV)大手テスラなどにも部品を供給しており、世界のサプライチェーン(供給網)に影響する可能性がある。
報道によると、火災が発生したのは台湾の大手企業グループ台湾セメント(TCC)の傘下企業である三元能源科技の高雄工場。台湾初の大規模リチウム電池工場として、鳴り物入りで2023年に操業を開始したばかりだった。顧客には米テスラのほか、世界のドローンや電気大型機関車、電気スポーツカー用のハイエンドバッテリーのメーカーなどがある。工場は今後、高雄市当局の要請により3か月間は操業を停止するため、世界の供給網に影響が出る可能性があるという。
台湾では6月にもリチウムイオン電池の発火でEVバスが炎上する事故があったばかり。
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電池火災への警戒が強まり、7月15日の台湾株式市場で三元能源科技の親会社である台湾セメント株は、2009年以来約16年ぶりの安値圏に沈んだ。台湾セメントは日本統治時代の浅野セメントが起源となった台湾の老舗企業グループ。近年はエネルギー事業にも積極的に乗り出している。
(IR Universe Kure)