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コバルト市場近況2025#7 上値重い、コンゴ輸出規制継続も需要も弱く

2025/07/25 14:34
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 2025年7月のコバルト市況は上値の重さが目立っている。生産国であるコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)が6月にコバルト輸出の停止を9月まで延長し、供給ひっ迫懸念は根強い。しかし、最終製品需要の弱さも意識される中、在庫が充足しているとの認識も広がり、一段と買いを入れる動きにもなりづらい。

 

関連記事: コンゴ、コバルト輸出禁止を3か月間延長 9月下旬まで・外電 | MIRU

 

 上海有色網(SMM)は7月11日のレポートで「気温上昇もあり社会活動が縮小しがちな中、最終需要が減退している」と指摘。「コバルトの取引も鈍っている」と分析した。

 

■LGとHGが5月のピークからじり安、LME横ばい

過去3か月間のLGコバルト (Co99.3%)($/LB)価格の推移

過去3か月間のHGコバルト (Co99.8%)($/LB) 価格の推移

 

 ベンチマークとなるLGコバルトは7月17日に仲値$15.6/LBを付けた。5月上旬に付けた直近高値($15.85)からじりじりと下落している。2月に一時$10割れした水準からは大幅に回復しているが、$16を上値抵抗線に重さが目立つ。

 航空機向けなどのハイグレード品であるHGコバルトも同調した動き。7月10日仲値は$19/LBだった。5月に$20割れしてからやはりじり安が続く。

 

過去3か月間のLMEコバルト価格の推移($/ton)

 

 国際価格のLMEコバルトも横ばい。7月24日高値は$3万2900/ton。6月9日に節目の$3万3000を割り込んでからは同水準での値動きだ。

 

■硫酸コバルトは4月以来の高値

過去3か月間の硫酸コバルト価格の推移(20.5%min China)(RMB/Mt)

 

 一方、電池向けの硫酸コバルトは上昇している。7月17日に仲値RMB4万7500と、4月上旬以来の高値圏で推移している。4月の水準を上抜ければ、電気自動車(EV)用車載電池向け需要の期待が高まった2022年以来の高値を回復することになる。

 

■Topics

7月14日

 

 

 中国レアメタル大手の洛陽モリブデン業(チャイナ・モリブデン、CMOC)が7月14日、上場する香港証券取引所で発表した2025年1-6月期の業績で、コバルトの生産量は6万1073トンと前年同期比13.05%増えた。銅の生産量は12.68%増だった。

 同時に発表した同期の決算見通しは、純利益が前年同期比51.37%-67.98%増の85億-91億元だった。

 

プレスリリース: 2025071401204.pdf

 

7月14日

 米ゼネラル・モーターズ(GM)は7月14日、自社ホームページ上で、「韓国電池大手のLGエナジー・ソリューションと合弁でテネシー州に建設中のリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池セル工場が、開業に向け準備を整えつつある」と発表した。2025年内に工場の状態を整え、2027年下期までに操業を開始する。

 

関連記事米GM、レッドウッドとEV電力応用で協業 韓国LGともLFPセルを生産へ | MIRU

 

6月10日

 中国生態環境省など中国政府の6部門は6月10日、リチウムイオン電池用の再生ブラックマスの合法的な輸入を正式に認めると発表した。8月1日から施行する。

  

関連記事: 中国、ブラックマスの輸入を解禁へ――8月から正式施行 | MIRU

 

(IR Universe Kure)

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