日本政府が出資する豪資源ライナス・レアアースが7月24日に発表した2025年4-6月期の実績報告書で、売上高は1億7020万豪ドルと前年同期比26%増えた。同時期には中国がテルビウムやジスプロシウムなどの中重希土類の輸出規制に踏み切り、世界的な供給不足懸念からレアアース価格が高騰した。ライナスは製品価格上昇の恩恵を受けた。
ライナスの4-6月期業績
同期のレアアースの平均価格は60.2豪ドル/kgと、前年同期比42.3%上昇した。中国が4月4日に中重希土類の輸出制限に踏み切り、世界的な供給懸念からライナスが手掛けるテルビウムやジスプロシウムの価格が値上がりした。
ライナスの4-6月期製品販売価格
(出所:以上図表2点はライナス・レアアースの四半期報告書)
テルビウムの場合、金属テルビウムの6月30日時点仲値は$1240/kgで、4月1日からは12%の値上がり。酸化テルビウムも6月30日時点で$1012.5/kgで同じく11.6%の価格上昇だった。テルビウム価格は7月に入ってからも堅調で、2024年1月以来の高値水準にある。
4-6月の金属テルビウムと酸化テルビウムの価格推移(99.99% Fob China)($/kg)
足元では、中国が磁石向けレアアースの輸出を再開しているとも伝わる。米中は関税交渉期限を8月12日に控えるが、この期限をさらに90日間延長するとの観測も浮上している。米中間の首脳会談も水面下で設置に向けた動きがあるとも伝わり、中国からの輸出がどうなるかは予測が難しい。
ただ、中長期には、西側諸国が脱中国依存を進める方向ではあるとされ、ライナスのような西側の資源企業は恩恵を受ける可能性が高い。ライナスはマレーシアなどでの生産拡大を進める。
(IR Universe Kure)