マレーシアメディアのザ・スターなどの外電は8月29日、「マレーシアの高官が、中国がマレーシアにレアアースの加工面で支援する用意があると明かした」と伝えた。現在は中国が世界のレアアース加工技術の9割を握っており、中国は一部レアアースの加工技術に輸出制限も課している。実現すれば海外への技術供与は世界初となる。
■習氏が訪問時に示唆か
報道によると、マレーシアのダトゥク・セリ・ジョハリ・アブドゥル・ガニ天然資源・環境持続可能性大臣が8月28日の議会で、書面による答弁で明かした。4月に中国の習近平国家主席がマレーシアを訪問した際、マレーシアのレアアース産業への支援方針を示したという。ただ、習氏はその際、協力対象事業にはマレーシアの政府関連企業(GLC)のみが関与するよう要請した。答弁によると、議論はまだ初期段階にあり、両国間で合意に達していないという。
■加工分野を増強へ
マレーシア鉱物・地学局によれば、マレーシアのレアアース埋蔵量は約1610万トン。同国は2023年からレアアース鉱石の輸出を禁止し、加工品のみの輸出を許可している。国内産業の育成のためで、加工分野における技術には需要がある。既に分離面では一定の存在感があり、さらに技術を向上させたい考えとみられる。
レアアースの工程における各国の分業体制
(出所:JOGMEC)
マレーシアでのレアアース開発には日本勢が協力意欲を示すほか、オーストラリア資源のライナス・レアアースが工場を構え、日本などへの輸出も視野に生産している。マレーシアと中国の関係が日本の事業にどのように影響するか、注視の必要がありそうだ。
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(IR Universe Kure)