レアアース鉱石の確保を巡り、中国とインドがしのぎを削る可能性が出てきた。ロイター通信は9月10日、「インド鉱山省がミャンマーの有力な反政府勢力の協力を得てレアアースのサンプルを入手しようとしていることが分かった」との消息筋の話を伝えた。ミャンマー産レアアース鉱石は中国が長年輸入する。アジアの2大国の競争が激化している。
■インド政府が反政府組織と接触か
報道によると、インド鉱山省は7月、ミャンマーの反政府組織である「カチン独立軍(KIA)」支配地域にある同国北東部の鉱山からのサンプル採取・輸送を検討するよう、インド国内の国営・民間企業に要請した。KIAに近い消息筋は、インドでのレアアース鉱石分析のためにサンプルを集め始めたと証言したとも伝わった。
■中国のレアアース鉱石輸入、大半がミャンマーから
中国は長年にわたりミャンマーからレアアース鉱石を輸入する。1-8月の中国のレアアース輸入額は前年同期比5.9%増と、1-7月の4.1%増から増加率が拡大した。中国はレアアース加工で世界首位だが、原料となるレアアース鉱石は輸入に頼る部分も大きく、輸入品の大半はミャンマー産だ。
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中国は基本的には国軍を支援する立場だが、レアアース鉱山は多くがKIAをはじめとする反政府組織の支配地域にあるため、反政府組織とも一定の関係を持つ。反政府組織側にとっても、レアアースの対中輸出は貴重な財源となってきた。
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そのかいあって、近年、中国のミャンマー産レアアース輸入はミャンマー側の国情混乱で物流が滞った時期などを除けば、総じて安定して推移してきた。
中国のミャンマー産レアアース輸入の推移
(出所:JOGMEC)
インドのKIAへの接触は、この安定した関係に横やりを入れることになる。インドとミャンマーも、貿易面での交流は古くから盛んだ。インドとしてはこの先注力したい半導体産業の振興のため、レアアース確保が急がれる。中国の輸出規制でレアアースの供給が不安定になりがちな中、脱中国依存を進める必要もある。
ミャンマーの反政府組織としては、貿易相手としてはどちらでもいいだろう。今後は輸入品の提示金額などで、中印が競り合う場面もみられるかもしれない。
(IR Universe Kure)