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島しょ部などの環境に対応した仕様でコスト・性能ともに妥協なし―エイムの岩田取締役に聞く

2025/09/25 14:30
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島しょ部などの環境に対応した仕様でコスト・性能ともに妥協なし―エイムの岩田取締役に聞く

新エネルギー車の開発などを行うエイム(名古屋市、鈴木幸典社長)は、島しょ部の社会環境を踏まえた電動の超小型モビリティ「AIM EVM」を年内に沖縄県で販売開始予定だ。同社はこれまで、オリジナルエンジンでのル・マン24時間レースへの挑戦やEV駆動用軽量高性能モーター、電気スポーツカーの開発を手掛けてきたものの、量産型車両の開発・販売は初めてであり、業界内外からの注目が集まっている。岩田智行取締役に車体の特徴や今後の販売戦略を尋ねた。
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インタビューに応じてくれた岩田取締役(写真はAIM製EVスポーツカーの国内レース展示時のもの)

 

――「AIM EVM」の特徴は
狭い生活道路や高い燃料費、急峻な坂道、台風による停電といった島しょ部の生活や事情を考慮した仕様であること。ニッチな販売領域で着実に展開していくことを踏まえ、コンセプトをあえて絞り、コスト(販売価格)と性能を両立させた。

 

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載し、満充電に必要な時間は5時間(200V)。120㎞の走行が可能で、住民の1日の生活をしっかりと支える。モーター性能も一定レベルを維持しており、坂道発進の最大角度は14度。パワフルで頼もしい走行を実現する。最小回転半径は3.5mで小回りが利くのも特徴の一つだ。車両重量は646kg。全長2485×全幅1295×全高1560㎜となっており、狭い道路でも余裕を持って運転ができる。

 

停電時は同車両からの給電が可能となる。販売価格は約190万円を予定しているが、「安くて便利だが格好悪い」と言われないようデザイン性にも妥協はない。製造は海外提携企業に委託しているものの、研究開発や設計は国内の自社拠点で完結する体制を構築している。

 

なお、車両規格は軽自動車の中の「超小型モビリティ(認定車)」。サイズや最高速度などの制限に加え、▽高速道路や自動車専用道は運行不可▽認定自治体指定の道路でのみ運行――などの条件付きではあるが、「第一種原動機付自転車(ミニカー)では許可されていない2人乗りが可能となる。まずは沖縄県内の各市町村から展開を開始し、東京都大島町など島しょ部を含む県外の市区町村へも提案先を拡げていきたい。


――いよいよ年内に発売開始となる予定だがこれまでのプロセスで苦労した点は
量産車両の開発経験がなかったことが挙げられる。レーシングカーなどの開発実績はあったものの、量産車両の開発・販売の知見が不足していたこともあり、QCD(品質・コスト・期間)のすべてを慎重にコントロールしながらの開発となった。

 

法規認証への対応にもだいぶ苦戦した。先に述べた通り、同車両は「超小型モビリティ(認定車)」での販売となるが、準備も含め認証取得プロセスだけで約1年かかった。。「超小型モビリティ(型形式指定車)」と比べて一部の保安機能や保安基準項目の試験が免除されているものの、53件もの保安基準項目の適合作業が必要であり、特に法規の解釈判断の部分での経験不足から、予想していたよりもはるかに膨大な作業と時間を要した。軽自動車検査協会や沖縄総合事務局運輸部の双方と細かくやり取りをしながら一連の作業を進めた。

 

結果的に沖縄県や認証を受けた市区町村、経産産業省、国交省、国会議員の方々など、多方面からの協力を得て今に至る。関係者の皆様には深く感謝している。

 
――「AIM EVM」発売後の事業戦略は
まずはB to Bを中心に車両を販売していく計画。沖縄県各市町村の公共機関や特定企業の社用車向けに売り込み実績を積み重ねていきたいと考えている。リゾートホテルで利用されているシェアカーにも適した仕様だと思う。

 

なお、「AIM EVM」の開発を含め、基本的には自己資本のみで事業展開してきたため、燃料電池自動車などの異なるタイプの新エネルギー車の開発については現時点で計画はないが、他社からの連携要請などがあれば、開発に取り組む可能性はゼロではない。

 

「AIM EVM」の内装イメージ


――福岡県北九州市小倉北区に新たな研究・開発拠点を開設した
新たな研究・開発拠点となる「エイムモビリティイノベーションセンター福岡」を8月1日に開設したばかり。今回のサテライトオフィス展開を通じて、自動車エンジニアリングサービス事業の展開、地域人材育成、次世代モビリティ開発への協力を包括的に実施し、北九州市の次世代自動車産業の推進に推進していく。

 

北九州市は自動車関連企業が多く進出している地域であり、市の政策としても自動車産業の発展に力を入れていることから、同地域での開設を決めた。人材不足が社会課題となる中で当社としても意欲あるエンジニアリング事業志望者を迎えられる環境はとてもありがたい。地域人材の育成や雇用創出に貢献しながら相乗効果を生み出していきたいと考えている。

 

さらに、北九州市立大学や九州工業大学大学院、九州工業大学など市内のコミュニティを活用したEV関連事業の裾野の拡大にも取り組む。企業と行政一体で自動車部品産業の集積を目指す団体である「パーツネット北九州」を既に紹介いただいており、加盟企業との協業も視野に入れている。

 

「エイムモビリティイノベーションセンター福岡」の内装イメージ

 


(IRuniverse K.Kuribara)
 

 

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