マツダと日本製鉄は23日、マツダが7月に世界初公開した新型クロスオーバーSUV「MAZDA CX-5」へ両社の「共創活動」を適用した結果、短期間での最適な車体構造開発の実現に成功したと発表した。
両社は日本製鉄の次世代鋼製自動車コンセプト“NSafe®-AutoConcept ECO3 (エコキュービック)”(NSAC ECO3 )を活用し、マツダのモデルベース開発と日本製鉄の独自解析技術、工法とのシナジーを創出。「走る歓び」を進化させる剛性や衝突安全性などの車体性能を確保しつつ、鋼材重量を前モデル比で10%削減した。

左:マツダ 取締役専務執行役員 向井 武司、右:日本製鉄 代表取締役副社長 廣瀨 孝
また、開発初期の段階から鋼板材料の選定を両社で実施。マツダの車両組立工場に近い日本製鉄の鋼板製造工場を選定できるように体制を整えた。これにより、調達構造のシンプル化が進み、輸送などにかかるコストやCO2排出の削減、サプライチェーン上の在庫削減、地政学的リスクの低減と安定供給、両社の間接的な生産コスト削減につながった。
両社は今後、対象車種を増やしながら、車種横断的な視点で、価値創造と原価低減を両立する強靭なサプライチェーン・バリューチェーンの構築を進めていく方針だ。
マツダの取締役専務執行役員兼CSCOの向井武司氏は、「今後もお客さま起点のサプライチェーンの構造変革と共創で、強靭な経営基盤・高い経営効率の実現と、日本のものづくりへのさらなる貢献を目指し、2030経営方針の第2フェーズで掲げる1,000億円規模の原価低減、1,000億円規模の固定費領域効率化にもつなげていく」と意欲を示している。
日本製鉄の代表取締役副社長の廣瀨孝氏は、「日本製鉄はマツダとの共創活動を通じ、鋼材開発にとどまらず、設計・加工・量産工程に至る広範な領域で協業を推進している。両社が理念を共有し、業界初の挑戦に取り組むことで、多面的な成果と相乗効果を創出している」とコメントした。
(IRuniverse K.Kuribara)