WSA(世界鉄鋼協会)加盟世界70か国合計の2025年9月の粗鋼生産量(速報)は、1億4,180万トンで前月8月実績[1億4,570万トン:速報値(1億4,530万)から40万トン増]比2.7 %減、前年同月(1億4,420万トン)比でも1.6 %減、前年同月比では2か月ぶりに減少する見通しとなった。
WSA(世界鉄鋼協会)発表内容
September 2025 crude steel production - worldsteel.org
前年同月比では、世界第2位のインドが速報値で13.2 %増の見通しとなったものの、
中国の9 月の粗鋼生産量は、7,349万トンと前月実績(7,733万トン)比で5.0 %減、前年同月(7,792万トン)比でも4.6 %減と、前年同月比では5か月連続の減少となった。
月間生産量としては2025暦年最低を記録した。
9月の1日当たりの粗鋼生産は245.0万トンで、前月2025年8月実績(249.6万トン)から約4.6万トン減少。
その他、日本、ロシア、韓国、ドイツ及びブラジルは、前年同月比で減少の見通しとなった。
アメリカ合衆国の9月の粗鋼生産量は、速報値では690万トンとなり、
日本の速報値637.5万トンを上回る見通しとなった。5か月連続で日本を上回って推移。 アメリカ合衆国の2025年1月~9月(速報)累計粗鋼生産量は6,140万トン、日本を約90万トン上回る。
図1に2024年4月~2025年9月(速報)までの、世界(70か国:世界計の約98%を占める。)、中国及びその他の粗鋼生産量及び前年同月比推移を示す。
前年同月比では、2025年9月(速報)の、 世界(70か国)粗鋼生産は1.6 %減、中国は4.6 %減となった。
一方、その他の粗鋼生産量は1.8 %増の見通しとなった。

図1 2024年4月~2025年9月(速報)までの、世界(70か国:世界計の約98%を占める。)、
中国及びその他の粗鋼生産量及び前年同月比推移
2025年1月~9月(速報)累計の世界70か国合計の粗鋼生産量は、13億7,380万トン、2025暦年換算では18憶3,173万トンとなり、2024暦年(18億3,760万トン)比では、0.3 %減。前暦年並み或いは、下回る見通しとなった。
<暦年上半期実績:中国>
2023暦年上半期の中国の粗鋼生産量は、5億3,163.6万トンだった。 2024暦年上半期の中国の粗鋼生産量は、5億2,773万トンとなり、前暦年同期比では0.7 %減となった。
2025暦年上半期の中国の粗鋼生産量は、5億1,489万トンと前年同期比2.4 %減だった。
<世界鉄鋼協会の加盟国数の変更>
世界鉄鋼協会の加盟国は、2023年1月に63か国となった。
・アフリカにはチュニジアが加わり、アジア及びオセアニアはモンゴルが加わった。
・一方、ロシア+CIS(ロシアを除く)及びウクライナ総計からは、モルディブ及びウズベ キスタンが除かれた。
・ヨーロッパ他からボスニア・ヘルツェゴビナが除かれた。
その後、2023年10月から71か国となった。
・アフリカは、アルジェリア、モロッコが加わった。
・中東は、バーレーン、イラク、ヨルダン、クウェート、オマーン、イエメンが加わった。
2025年1月から2025年4月はヨーロッパ連合からハンガリーが、及びロシア+CIS(ロシアを除く)及びウクライナ総計からはベラルーシが除かれ、下記69か国となった。
今月2025年5月(速報)からは、ロシア+CIS(ロシアを除く)及びウクライナ総計に再びベラルーシが加わり、下記70か国となった。

<主要国の粗鋼生産量 8月実績>
鉄鋼連盟が発表した主要国の粗鋼生産量によれば、 上位10か国の8月(実績)の粗鋼生産量は、
中国7,737万トン(7月7,966万トン)
インド1,408.7万トン(前月1,398万トン)
日本663.5万トン(前月691.8万トン)
米国715.6万トン(前月714.2万トン)
ロシア550万トン(前月551.8万トン)
韓国517.7万トン(前月523.6万トン)
トルコ339.4万トン(前月318.2万トン)
ドイツ257.7万トン(前月271.9万トン)
ブラジル286.6万トン(前月280.2万トン)
イラン162.7万トン(前月223.5万トン)となった。
前年同月比では、日本、中国、韓国、ロシア、ドイツ及びブラジルが、減少した。
Table 1に、2025年9月(速報)の地域別粗鋼生産量と前年同月比、及び2025年1-9月(速報)累計生産量と前年同期比を示す。
アジア及びオセアニアの8月(速報)は、1億290万トンと前年同月比2.1 %減、 1-9月(速報)月累計でも、前年同期比1.5 %減 の見通し。
前年同月比で増加の見通しとなったのは、アフリカ、その他ヨーロッパ及び北アメリカだった。

Table 2に、2025年月9(速報)の世界上位10位国の粗鋼生産と前年同月比及び2025年1-9月(速報)累計生産量と前年同期比を示す。

<インド>
2022暦年も好調であった世界第2位の粗鋼生産国であるインドは、2年5か月以上、前年同月比増を継続していたが、2024年9月には、1,178.3万トンとまで減少し、前年同月(1,174.5万トン)比0.3 %増となった。
2024年3月以降、月の生産量は6月及び9月を除き、1,200万トン超えを継続。
2025年3月からは1,300万トンを、8月からは1,400万トンを上回った。9月は再び1,300万トン台の見通し。
2023暦年では、2022暦年(1億2,537.8万トン)比12.0 %増の1億4,076.2万トンとなった。 月換算では、1,173万トン。
2024暦年では、1億4,882.4万トンとなり、前年度比5.7 %増 月換算では、1,240.2万トン。
2025年9月速報では、1,360万トンと、2024暦年月換算を上回る。
<その他主要国>
その他の主要国において、前年同月比で増加する見通しとなるのは、米国、トルコ及びイランである。
図2には、主要10か国の粗鋼生産量推移を示す。1991年~2024年の暦年データは、月換算で示してい る。

中国は1996年、インドは2017年に日本の粗鋼生産量を上回った。
日本(赤折れ線グラフ)は2000年以降、米国の粗鋼生産量(オレンジ色折れ線グラフ)
を上回って推移してきたが、2024年8月、 2025年1月及び2025年5月~9月(速報)では、下回った。
図2 国別粗鋼生産量推移(暦年の生産量は月換算としている。)
(IRUNIVERSE tetsukoFY)