一部マイナーメタルの供給不安が続いている。ガリウムとタングステンはともに供給ひっ迫感から過去最高値圏での高止まりが続く。IR Universeが11月2日に商品トレーダーに取材したところでは、ガリウムについては来春にかけてのピークアウトを見込む声があった。しかし、タングステンは快進撃が続くもようだ。
■ガリウム、来春には値下がりの可能性も
過去20年間のガリウム価格の推移(EU Spot market)($/kg)

ガリウム価格は10月23日に仲値$1250/kg、高値で$1350/kgを付けた。ともに過去20年間での最高値圏にある。
IR Universeのトレーダーへの取材によると、バージン価格の高騰を受けスクラップ価格も高騰し、スクラップからのガリウム精錬業はフル回転しているという。ただ、供給がいきわたるため、このトレーダーは「来春あたりには価格が下がる可能性もある」と話していた。
10月30日の米中首脳会談を受けた米側発表では、中国はガリウムを含む輸出規制を撤回する。中国は2023年夏からガリウムを輸出規制の対象にしてきた。今後、中国産ガリウムの流通が増えれば価格はピークアウトする可能性がある。
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■タングステン、スクラップからのYTOが頼り
過去20年間のタングステンAPT価格の推移 (EU Free market)($/MTU)

一方、タングステンはベンチマークであるAPTが、高値が10月23日に$685/MTU、仲値は10月29日にも一段高となり$647/MTUをそれぞれ付けた。いずれも過去最高値圏にある。勢いは衰える気配がなく、このトレーダーは「$1000を超えても不思議ではない」と話す。
中国は2025年2月にタングステンを輸出規制の対象に加えた。タングステンはもともと、資源が枯渇気味で中国国内でも産出品の品質低下が言われていた。トレーダーによると、「中国は原料に近いタングステンは出さない。スポットでのバージン供給はできないし、長期契約も狭まってきている」という。
このため、供給源の頼りは「スクラップからのコンバージョンでのYOT(イエロー酸化タングステン)」。だが、スクラップから原料を抽出できる業者も過ぎられているため、供給不安は強い。「スクラップの調達レートを確保していないと原料の調達に結びつかない」(トレーダー)ため、「日本の大手企業も必死に調達と囲い込みを急いでいる」(同)という。
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ただ、このトレーダーが指摘するのは、供給不安から価格が高騰しているだけで、「実需はさほど強くない」こと。また、貿易統制は諸刃の剣でもあり、「中国の業者も輸出ができず困っている」(同)のが現状という。
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(IR Universe Kure)