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シリコン系パワーIC、緩やかな需要増加も成長率は限定的か―パワー半導体市場動向

2025/11/05 14:17
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シリコン系パワーIC、緩やかな需要増加も成長率は限定的か―パワー半導体市場動向

パワー半導体市場2

 

2025年Q4から2026年にかけて、シリコン系パワーIC(MOSFET、IGBT、SBDなど)は在庫調整の影響から回復し、緩やかな需要増加が見込まれる。ただし、SiC・GaNへの置き換え圧力が強まり、成長率は限定的でとの見方が支配的である。

1成長抑制要因は3つある。

  • EV市場のSiC移行:トラクションインバータやOBCでSi IGBTからSiC MOSFETへの置き換えが加速する。
  • 再生エネルギー・産業用途でもSiC化が進行する。太陽光PCSやUPSで高効率ニーズが高まり、SiCが優位に立つ。
  • 価格競争激化:中国・台湾系メーカーがSi IGBT・MOSFETを低価格で供給、利益率圧迫。

2成長要因(限定的)

  • 民生機器・低電圧用途では依然としてシリコン(Si)が優位:コスト重視のACアダプタ、自動家電、LED照明など。
  • FA/UPS用途での設計固定化:既存設備との互換性維持のため、Si IGBTが継続採用されるケースが散見
  • 中国計器回復による在庫正常化:2025年後半からの在庫解消が2026年の出荷回復に寄与。

3中国のSiCインゴット・ウェハ・パワーデバイスメーカーは、2025年後半から2026年にかけて急成長を遂げており、世界市場での価格競争力と供給能力を強化している。ただし、技術力と信頼性面では欧米・日系メーカーとの差が残る状況は変わっていない。代表的な企業として三安光電(San’an)、瀋陽中科芯源(Synlight)、SICC(山東天岳)、Tankeblue(天科蓝)を取り上げてみる。

 

企業名主な動向・特徴
三安光電(San’an)府補助を活用し、6インチウエハの量産体制を拡大中
瀋陽中科芯源(Synlight)地方政府支援でSiCインゴット製造ラインを増設
SICC(山東天岳)高品質SiCバルク結晶を製造、Wolfspeedと競合する品質を目指す
Tankeblue(天科蓝)低コストSiCウェハ供給で急成長、EV Tier 2向けで採用拡大中

表1 中国のSiCインゴット、Wafer供給メーカー4社

 

2024年比で中国のSiCウエハ生産能力は約40%増加、φ8インチ(200㎜)ウエハ開発も一部企業で進行中(但し歩留まりは未確定)。約100社以上がSiCパワーデバイス製造に参入しており、EV,UPS,太陽光パネルPCS向けに事業展開しているという

注目の原価は米国メーカーの30~50%程度と推定され、高い価格競争力を持っている。

表2はSiCインゴット、インチサイズ別ウエハ生産メーカー一覧である。2024年現在中国のインゴット生産メーカーはCentury Goldray Semiconductor  (Cengol)、Guangzhou Summit Crystal Semiconductor (GZSC)、Hypersics、IV-Semitec、Tiancheng Semiconductor、である。ウエハサイズは4,6インチが主力であり、エピ成長済みウエハ供給についてはウエハ内の膜成長のバラツキ等により、歩留り向上に腐心しているようだ。

  

   表2 2024年現在、中国SiCインゴット、エピ成長ウエハメーカー一覧(ソースOMDIA)

表1に挙げた三安光電(Sanan Optoelectronics .,Ltd.)は、中国最大の化合物半導体メーカーである。SiCパワーデバイス分野でも急成長中である。2025年にはSTマイクロエレクトロニクスとの合弁で中国初の8インチSiC車載用ラインを稼働させ、世界市場での存在感を高めている。設立は2000年(前身は1993年設立)本社所在地は、福建省厦門(アモイ)市である。主力事業はLEDチップ、SiCウエハ・パワーデバイス、光通信用チップ、RFチップなどを取り扱っている。年商は約125億元(2021年)、2023年オランダのLumileds社を買収し、ハイエンドLED市場に進出している。

 

 

(IRuniverse 椿匡之)

 

 

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