2025年11月6日(木)普通鋼電炉工業会主催の2025年電炉鋼材フォーラムがハイブリッドで開催され、総勢1248名が参加した。
電炉鋼材は建設分野を中心に利用されているが、近年では、環境・資源循環の観点から゛鉄のリサイクル”によって生まれる電炉鋼材への注目度が高まる一方、鉄スクラップの安定確保にも関心が集まっている。
このフォーラムは、官公庁・自治体・建設業者・設計会社・鉄骨加工・鉄筋加工・流通・教育研究関係をはじめとするユーザーを対象に情報発信の場のひとつでもある。
林誠一 株式会社鉄リサイクリング・リサーチ代表取締役は、
「カーボンニュートラルに向けた鉄源需給の展望」について講演された。
冒頭で、
「2024年時点では、日本と世界の鉄スクラップ需給に、CNを目指した具体的な動きは、データに現れていない。
しかし、やがて訪れるであろう鉄スクラップ不足感に対して、発展途上国では生き残りをかけ、たくましく動き始めている」とした。
林氏は、
2024年電炉鋼材フォーラムでは、
「CNに向けた電炉化の状況と鉄スクラップ需給の展望」と題して、世界を
①中国、
②先進地域(欧州、ロシアCIS、北米、日本、韓国及び豪州)、
③発途地域(アフリカ、中東、インド、西アジア、東南アジア、中南米)に分け、
②の先進地域の電炉化によるスクラップ需給を予測され、先進地域での高炉の電炉化が進めば、スクラップ輸出余力は抑制され、受け側である発途地域の鉄源に支障するのではないかとされていた。
今回の発表では、需要拡大方向にある発展途上国(上記 ②発途地域)に焦点を当て、鉄源確保の対応を探った。
ここでは、発展途上国を2つのグループに分けて検討された。
- 鉄鉱石、天然ガス需給グループ
- 資源少なく鉄源はすべて依存のGr
- では、代替鉄源としてのDRI投資が進む
では、発展途上Gr内流通が展開され、
結論としては。「鉄源は枯渇しないが、品位の要求は高まる」とされた。
2024年の電炉鋼材フォーラムは、下記にて視聴できる。
講演資料は下記より。
会場参加は品川フロントビル会議室(定員300名)だった。
プログラム
• 13:15~13:25 開会挨拶
普通鋼電炉工業会 会長 美濃部 慎次
• 13:25~13:35 ビデオ上映「DENRO~循環型社会の未来へ~」
普通鋼電炉工業会 品質管理委員会 委員長 上道 雅丈 (共英製鋼株式会社 上席執行役員 生産企画部長)
• 13:35~14:10 講演「サーキュラーエコノミーに寄与する前処理技術開発戦略と検討例」
早稲田大学 創造理工学部長・研究科長 早稲田大学 理工学術院 教授 所 千晴 氏
• 14:10~14:45 講演「日本のGX政策と鉄鋼業界への影響」
株式会社丸紅経済研究所 上席主任研究員 桑名 奈美 氏
• 15:00~15:35 講演「日本の鉄鋼業の競争力向上に向けた、サプライチェーン横断DXへの挑戦」
三菱商事株式会社 マテリアルソリューショングループ 産業素材DX部 森谷 壮一郎 氏
• 15:35~16:10 講演「CNに向けたアーク炉技術の動向及びアーク炉設備における自動化、安全化について設備紹介」
スチールプランテック株式会社 プラントエンジニアリング本部 電気炉エンジニアリング第二部 吉田 賢統 氏 講演資料
• 16:10~16:55 講演「カーボン・ニュートラルに向けた鉄源需給の展望」
株式会社鉄リサイクリング・リサーチ 代表取締役 林 誠一 氏
(IRUNIVERSE tetsukoFY)